『違和感』に気づき、本音を語る

■序章
リクルート入社後、なかなか成果を残せず、先輩社員から怒られ続ける自分に違和感を感じ始めたのは入社4年目に入った頃だった。
それまで、小学校では学校の30周年記念式典で代表挨拶をし、県内偏差値1番の中学に入学し年間成績優秀者に選ばれ、高校アイスホッケーで国体に出場し、社会人でもアイスホッケー全国大会に出場し、ミスター早稲田ボディビルコンテストで3位を取った…なのにここまで「ダメなやつ」だったっけ…。
「頑張っている人に、頑張れる機会を提供したい」という思いを胸にリクルートに入社したときの希望はどこへやら…。成果が全く残せず、何をすればいいかわからず、毎日怒られ続ける自分。先輩に怒られないように会社に行っている自分。何かやってみたいことはないか?と問われて困る自分。何かがおかしい、と思い始めた。

■コーチとの出会いを生み出したのは『違和感』
こんにちは、鍛えるコーチのヒロヤです。プロコーチとして、リクルートに勤めながらGOAL Bコーチングでコーチングサービスを提供しています。
僕がコーチングと出会った最初のきっかけは、何かがおかしいという『違和感』でした。
本当はこんなはずじゃない、そんな話を元上司の方に相談したことがきっかけでした。当時の話の内容については全く覚えておらず、覚えているのは「俺、もっともっと出来るやつだよな、そういえば」。シンプルにこの感覚でした。
そんな話をしていたからか、その元上司の方から「焚火と語り:自分のことを語ってみよう」といったコンセプトのキャンプ会に誘ってもらいました。そこで、入社以来初めて自分の本当の気持ちを話した気がします。当時話した内容はとにかく「苦しい」「大変」「何とかしたい」という内容だったと思います。それまであまり触れないようにしていた感情でした。
そして、その場にいたのが、今も僕に関わり続けてくれている「コーチ」でした。

僕は当時を振り返って、たくさんの人に助けてもらう機会を得ることができたと思っていますが、もし自分の最大のファインプレーを選ぶなら『違和感』とちゃんと向き合えたことだと思っています。あの時、自分が『違和感』を感じることができなかったら、僕は今でも表面的な自分の世界で留まっていたかもしれません。
この「俺は本当はもっと何か出来る人だ」という『違和感』が元上司との会話→キャンプ→コーチとの出会いへと繋がり、今の自分(リクルートで働きながら、ボディメイクもプロのコーチもしている姿なんて3年前には考えもしなかった!)を作っています。

■『違和感』の正体
『違和感』はどんな形で出てくるものなのか?これは人によって表現が違うと思いますが、僕の場合

感情としては、
・不安
・怒り
・不満
・苦しい
・モヤモヤ

行動としては、
・すねる
・文句を言う
・未達で終わった売上成果や結果を説明しようとする
・事実を突き付けられることを嫌がる

といった感じでしょうか。上記に加えた特徴として、自分ではめちゃくちゃ頑張っている感覚なのに成果が全く出てこないといった事が起こっていた気がします。
一見こういった感情や行動は、出てきてはいけないもの/無くすべきもののように捉えがちです。実際に、
この『違和感』を持っている状態は決して気持ちのいいものではないです。出来ることならば見ない振りをしていたいものです。
けれど、一度この『違和感』に向き合ってみると、この『違和感』こそが状況を打開していく大事なきっかけとなることが分かっていきます。そうなんです、『違和感』はむしろ大歓迎だったんです!

■『違和感』は意外と気づかない
ただ、この『違和感』を普段から僕は感じていたんですが、僕は気づかない振りをしたり、理屈つけて説明しようとしていました。実際に僕の入社後3年間の『違和感』は苦しいという感情で出てきていましたが、「大変なプロジェクトに入社数年でアサインされてしまったから、ついていくので精一杯。だから苦しい」と理屈つけていました。違和感を感じることすら避けていました。
今の自分で大丈夫と安心を得るために、自分で自分を説得していたように思います。自分を否定するのが怖くて「俺は今のままが一番いい」と自分に嘘をついていたと思います。


■『本音』を語ることで、自分の『違和感』を知る
そんな嘘つきな自分が、最初のコーチングでコーチに問われた質問が
「ひろやが本当にやりたいことって何なの?」
このシンプルな質問でした。

ひろや「俺がやりたいことは、会社内の全社表彰を受けることです」
コーチ「そうなんだ、それってほんと?」
ひろや「リクルートで働いている限り、そこを目指すべきだと思ってます」
コーチ「そうなんだ、それって誰が決めてるの?」
ひろや「…ん?それはもちろん僕…じゃないかも…周りの人に決められているかもしれないです…」
コーチ「そっか。そうなんだね。本当にひろやがやりたいことって何なの?」
ひろや「…」
   「ちょっと、本当は言っちゃいけない事かもなんですが、言ってもいいですか?」
コーチ「いいよ」
ひろや「ぶっちゃけ、社内表彰とか評価とかどうでもいいんです!給料もらっていようが何だろうが、自分は会社のために働いているわけじゃないです!」
コーチ「そうなんだ、それじゃひろやは何のために仕事してるの?」
ひろや「…そうだ、思い出しました。俺はこの世の中でこれだけは佐藤広野がいてくれたことで出来るようになった、ありがとうと言われることを少しでも増やしていきたいんです」
コーチ「そうだったんだね」

自分のやりたいことに対してさえも嘘をついていた自分に驚きました。同時に、ありがとうを増やしたいという本音を自分が持っていたことに、ある種懐かしさを感じました。あぁ、そうだった俺はこれのために生きてるんだ。そう思っていいんだって、許された気分になったのを今でも覚えています。
コーチングを重ねていく度に、自分の本音が露になっていきました。
そして、会社でも本音を語り始めました。すると不思議と自分の周りの人の本音を聞く機会が増えていきました。そうやって本音で語り合える環境ができていって、現実で起きていることがどんどん素直に捉えられるようになっていきました。

違和感から始まって、コーチングを通して自分の本音を知ることができたんです。
今自分がどういう状態なのか?(どういう気持ちなのか?何に違和感を感じているのか?本当はどう思っているのか?)を意外にも、自分自身は知らないことが多いんです。

正確には、知らないというより知らない振りをしているといった方がいいいかもしれません。
というのも、体の感覚として『違和感』として出てきていたり、場合によっては実際に体調として現れてくることもあります。身体は知っているんです、自分が今どういう状態で本当はどういう風になりたいのかを。
また、本当にやりたいことを言語化したときに「許された」といった表現になった事を考えると、自分自身もどこかで知っていたんだと思います。
本音を語る事で、今の自分を知ることができるんです。


本音を語ることで、自分を知った一つの出来事がありました。
これはコーチングに出会う前の大学生の時です。

僕は、高校生の時に母親を亡くしています。大学生になって親父にパートナーができたと伝えられた時の話です。
母親の闘病生活中に、親父がどれだけ母さんに寄り添っていたのか、息子である自分が受験勉強中に男手一つで家事と医院経営と母の看護のすべてを一手に担って支えていた姿を見ていました。本当によく頑張ってきた親父に新しいパートナーができることは僕にとっても喜ばしい事でした。

そのことを伝えるために東京から岡山の親父に電話した時に、祝福の旨を伝えると同時に、なぜか自分は親父に対して泣きながら怒っていました。「なんで彼女なんか作ってんだ!俺たちの家族は、母さんと姉貴と親父と俺の4人家族じゃないか!」自分でも話しながらびっくりしていました。どれだけ喜ばしいと思っても、親父のせいで自分の思っていた家族がなくなってしまう事に対する怒りと悲しさがあったんです。母親はもうこの世にはいなくて、当時の4人家族は今はないということを突き付けられた気持ちになって悲しかったんです。受験勉強という口実を作って母親がいなくなったことを直視していなかった自分が、改めて母親がいなくなった事実と向き合わされたんです。どこかで分かっていた事だったんですが、母親が亡くなった事を気づかないフリをしていたことに、その時初めて気が付きました。

ただ、この言葉を発言してから出てきた次の言葉は「たぶんこのことで、姉貴とも揉めるし、奥さんとも揉めるかも。けど、俺はいつも味方でいるわ。」という言葉でした。
自分の本音を伝えきったからこそ出てきた、次の本音でした。
本当にこれまで家族のためによくやってきてくれた感謝と尊敬を伝えました。

一つの本音は、次の本音を引き出してくれるという気づきでした。そして、逆に一つの嘘でたくさんの本音が閉ざされてしまっていることも気づきました。

実際には、親父に新しい家族ができることは、今はもう4人家族ではなくて3人家族になってしまったことを突き付ける悲しい出来事でもありました。
それでも、僕にとっては家族を大切で、何より年々親父のことを尊敬できる自分がいます。この親父との新しい関係を作ったのは間違いなく本音の会話からでした。

■まとめ
あなたは本音を語っていますか。会社での立場、お客さんとの関係性、家族関係、いろんな関係の中で生活していて相手に気を遣う場面もあるかもしれないです。
仕事の効率を考えると、必要最小限の事だけを伝えたほうがいいのかもしれないです。
でも、それって本音ですか?本当はどうしたいのかまで伝えれていますか?違和感はないですか?

小さな本音がより多くの本音を引き出してくれます。自分が本当に思っていることを声にして伝えてみてほしいです。本音が本音を呼びます。
そして、その手掛かりは『違和感』です。なんかおかしいなと、と思ったらそれを解消するのではなく、向き合ってみてください。


■終わりに
本音が見つかれば、本当に自分のやりたいことも見つかってくるはずです。小さな本音が大きな本音を導いてくれます。本当に自分が実現したい事を実現しましょう。
自分の持っている違和感、本音、本当にやりたいことと向き合う場をコーチングでは提供します。

進化するあなたと共に。


2020.04.26
ひろや@鍛えるコーチ

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