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世代交代

夫が家業を継いで20年以上経ったある日。
義父と義姉とで、外で食事をする機会があった。
その店のオーナーは、
義父がどんなに男らしいかヨイショしまくって、
義姉も一緒になってはしゃいでいた。
とても気持ちが悪かった。

私は酔った勢いで義父にストレートに聞いた。
「いつになったら、仕事を息子に任せて退くの?
80過ぎてろくに仕事もしてないのに、権力と
お金だけ握りしめて、自分勝手だと思わないの?」

「俺が仕事を退いたら何もする事がない。
毎日ババア(妻)の顔を見てケンカしてろって言うのか?
そんなの冗談じゃない。
ババアと居たら気が狂っちまう。
アイツ(息子)には今でも交代するのが遅すぎたと
わかっている。
周りもみんなアイツを気の毒がってる。
仕事は俺以上にできるし、してる。
でも、俺はババアと居たくない。
今のまま、天下の〇〇さん(自分の名前)でいたいんだ。
だから俺からは退かない」

「サイテーなエゴイストだね」

「何とでも言え、何を言われようと天下は渡さない」

あまりのバカさに怒りに震えた。
そのままを夫に話した。

そしてこう付け加えた。
「親のためとか、親が可哀想だと思うほど
あなたの親はあなたの人生を考えていないよ。
能力のない人間が、のさばっているのを黙って
指を加えて見てても変わらないよ。
力と実力がある人が仕切らなければ、仕事は
ダメになる。
もういい加減、ハッキリさせなよ」

その数日後、
夫は義父の首を切った。

義父は退院した義母の世話をすることになった。

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