俺は、絶対に間違ってる | 林 周一郎さんインタビュー
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俺は、絶対に間違ってる | 林 周一郎さんインタビュー

「進化を楽しむ」ライフスタイルを生み出し、「筋肉ではなく動作を鍛える」ワークアウトスタジオを展開するGRIT NATION。代表の林周一郎さんのStoryをインタビューしました。


BODY PLAN共同代表 神田 光浩(以降 神田)

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僕もトレーナーとして15年くらい働いてきているんですが、林さんの考え方にはすごく共感しています。どうして林さんがGRIT NATIONを立ち上げたのかとか、いろいろお聞きしたいんですが、まずはどんな学生時代を過ごされたんですか? 

GRIT NATION 林 周一郎さん(以降 林)

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シンプルですよ。東京の吉祥寺で育ち、中学受験戦争を乗り切ってからはラグビー漬けでした。父がラグビー経験者だった影響もあって始めたんですが、球技センスのない自分には向いていたみたいで、一気にハマりました。

神田:
僕はラグビーには縁がないですね。どういう魅力がありました?
林: ラグビーは球技のセンスがなくても、必ず個性を活かして役に立てるポジションがある。大きい人も小さい人も、僕のように足は速いけど不器用な人も、自分が自分のままで貢献できる、というところがすごくしっくりきたんですよね。
神田:魅力的に聞こえますが、ラグビーって結構激しいスポーツですよね...。続けられたモチベーションって何だったんですか?
:仲間と一緒に戦う。原始的な闘争本能が刺激される中毒性がありましたね。
日常生活の中で、極端に感情が上下することって少ないじゃないですか。
でも、ラグビーでめっちゃ喜んだり悔しがったり痛かったり、思いっきり振れ幅がある感覚を知ってしまったら日常だけでは物足りなくなる...物足りなくなったんでしょうね(笑)
神田:あぁ、僕もずっと野球をやっていたので、そこはすごく共感できます。スポーツって感情が動きますよね!思い出深い瞬間はありますか?
:心に刻まれているのは、栄光の瞬間よりも挫折ですね。これは今でもまだトラウマなんですが、大学ラストのシーズンクライマックスに突然メンバーから外されてしまったんですよね。
神田:え!?
:試合前日の昼までは一軍で練習していたのに、突然その日の夜のメンバー発表で、僕の名前が、レギュラーはおろかリザーブでも呼ばれなかった。
神田:え!?メンバーリストの記入漏れとかではなく?
:記入漏れではなく(笑)呼ばれなかったんですよ。
でもプライドなのか、理由を聞くことができなかった。練習ボイコットとかはしなかったしその後も参加はしてたけど、心は折れてた。
神田:卒業してからも、いまでもまだ、監督に当時の理由を確認はできてないんですか?
:そうですね。確認はしてないのでわからないままです。傷ついていないふりしてたけど、惨めだったし辛かった。
監督を恨んではいないし、選ばれて当然の選手じゃなかったとも思う。でも、これからの人生は評価者に委ねるのではなく、自分の価値を世の中に問いたいと強く思いましたね。


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神田:すごい...強いですね。僕は野球で同じような経験をしたけれど、スネてしまってそんな強くなれなかった...。すごいですね。
:大学を卒業して三菱商事という大きな会社に就職したんですが、「世の中に己の価値を問う生き方をしよう」というのはずっと心にありました。
神田:強いなー!
:...でもね、やっぱり、ネガティブなところから生まれた考え方って、ヘルシーじゃないんですよ。
神田:...

「ねばならない」に縛られていた気付き

:どうなったかというと、誰に対してもずーっと戦っている。初めて会う人でもクライアントでも同僚でも、自分の優秀さを証明しようとしてる。
神田:なるほど。戦ってますね。
:「できないならできるまでやれよ。俺はそうする。」って言ってたし、正しいと思ってた。
プレイヤーならそれでもいいのかもしれないけれど、俺はお前よりすごいんだ!というのを見せつけるようなリーダーには偉大なチームは作れない。組織が清々しく成長できない状態って、本質的じゃないよね。
神田:それに気付いたきっかけって何だったんですか?
:アメリカのサンディエゴから、動作学を研究している川尻隆さんを呼んでGRIT NATIONのコーチたちのレベルアップのための研修をやってもらったんですよ。そのときに「あなたがGRIT NATIONのブレーキになってるよ」と言われたんです。

きっかけは時間の話だったかな?
「(時間にルーズなコーチについて)信頼を構築するために時間を守る、というのは当然でしょ」と川尻さんに言ったら、「時間を守らねばならないと、周さんが思ってるからダメやねん」と言われた。

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神田:それが腹落ちして意識が変わったんですか?
:いや、全く意味がわからない。「あいつは時間を守れない」「それはあなたが悪い」って、どんなロジックだよ...って思いましたよ(笑)
そうしたら逆に川尻さんから「じゃあ周さんはどうなりたいんですか?GRIT NATIONをどうしたいんですか?」と聞かれた。「あなただけがすごい、あなただけがカリスマというGRIT NATIONでいいの?
『スポーツの力で世界を鮮やかにする(当時のブランドビジョン)』ために、今のままのチームでいいの?リーダーのあなたはそんな感じでいいの?」って。

このときに、「アレ?」って思ったんですよね。
結局のところ、僕がこだわっていた戦いというのは、僕の優秀さを示すための戦いだった。
そんなことのためにGRIT NATIONというチームを作ったのではない。一人ではできない挑戦をするためだったはずなのに、気付いたら全然違う生き方になってたんですよね。
僕が「ねばならない」に縛られて、コーチが萎縮する状況を作り出し、成長にブレーキをかけてたんだね、と気付けた。

神田:気付いてから、周囲との関わり方って変化しました?
:めちゃめちゃ変わりましたよ。クライアントを幸せにするのは僕の仕事ではない。クライアントを幸せにするのはGRIT NATIONのコーチであって、僕の仕事は彼らを幸せにすることだ、と価値観が切り替わりました。それでも油断するとすぐに「俺は正しい」モードに戻りそうになるので、「俺は絶対に間違ってる」と自分におまじないをかけて、人を受け入れる隙間を作ろうと努力してます。
神田:いいですねー!すごい。僕はいますごい深い話を聞いているぞ(笑

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「やり抜く力」で未来をつくる

神田「GRITが世界を自由にする」というビジョンも、僕にはすごく刺さるんですけど、どういう経緯でGRIT NATIONを立ち上げたんですか?
:それ、語らせるとめちゃくちゃ長くなりますよ?(笑)
省略して話すと、僕の人生の前半はラグビーが占めていて、ワガママなガキを大人にしてくれたスポーツの価値を信じていたこと。
自分が価値を信じられるスポーツ界でビジネスを生み出し、人もお金も集めて、若者が夢を見られる業界にしたい、と思っていた。スポーツ×エンタメでいろいろ事業のアイディアは出してはいたんだけれど、「 僕がやるべきだ!」という確信みたいなものは持てずにいたんですよね。
神田:なるほどね。
:そんなとき職人気質のトップトレーナー(友岡和彦と高谷温子)と出会って「これだ!」と思った。カッコいい体を作るための鍛え方と、思い通りに動くための鍛え方って違うものだ、ということ教えてもらって、衝撃を受けたんです。
大学ラグビー時代、必死に鍛えても妙に怪我が多くて、原因がわからずに大人になったけど、時を超えて謎が解けた。僕はアスリートなのに、ボディビルダーのトレーニングしてたんだと(笑)
神田:笑
:僕はラグビーで成果を出したくて、いろいろ調べたうえで体を鍛えていたつもりだったけど、それでも間違いに気づけなかった。
おそらくほとんどの人が知らないであろう、価値があるけどわかりにくい職人魂を、形や仕組みを変えて世の中に還元するのは、商社マンだった俺がやるべきことだと確信したんです。

神田:そこで社名を「GRIT NATION」にした理由は?
: GRITの意味は「やり抜く力」。僕たちのビジョンに「GRITは世界を自由にする」という言葉があるんですが、自由と責任ってセットなんですよね。責任を人に預けていては、自由にはなれない。
自分がやりたいことをちゃんとやり抜くということは、自分が選んだことの責任を背負うということ。自分の選択をちゃんと背負う人が増えてきたら、ようやく人に優しくできたり、未来を考える力が生まれるんじゃないかな。僕たちはそういう共同体(NATION)を目指してる。
神田:すごい。いい話ですね。思いが事業にも活かされて、形になってる。勉強になります...!
:人間ってやったほうがいいって、わかってるのにやれない非合理性がありますよね。トレーニングはその典型。「動作を鍛える」という本質を追求することに誇りをもっていますが、それが人を動かすわけではない。だから目線をずらすんです。
カッコイイ空間、刺激し合う仲間、達成感…プロセスを楽しんでいるうちに結果が出る仕組みというか。正論じゃやる気スイッチは押せないから、いつも脳の仕組みを考えてます。

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神田:「正論じゃやる気スイッチは押せない」というのは、GRIT NATIONが作ったプロテインにも感じますよね。プロテインなのにおしゃれ。女性が持ってても全然違和感がない。うちのスタッフにも「すごくいい!」と好評です。
このMorning Ritualのネーミングや誕生のきっかけにも、Storyがあるんですか?

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:朝にこだわるのは、日本栄養コンシェルジュ協会を設立した岩崎真宏さん(医学博士)から「ゴールデンタイムってウソだよ」って言われたのが大きかったですね。運動後30分以内にプロテインを飲んだ方がいいよ、というのは筋トレ界で長年言われてきたことなんだけれど、「最新の研究では否定されている」と。
スタッフ:え!ウソなんですか...!?
:どんなに早いプロテインでも、吸収されるまでに2時間かかる。ってことは、運動した後に飲んでも遅いんですよね(笑)
スタッフ:たしかに...えー!私、いつも一生懸命30分以内に飲んでました...。
:トレーニングの前の方がいいし、なんなら朝が一番いい。寝起きは体が飢餓状態だから。
血中のアミノ酸濃度が下がっている状態で活動すると筋肉が分解されちゃうから、寝起きの身体にいかに栄養を与えてあげるか、ということが大事なんですね。
近代の食生活と理想とのギャップを埋めるために、朝に一番必要な栄養素の軸は、たんぱく質つまりプロテインです。
そこで市販の商品のリサーチもしたんだけれど...。すごくケミカルなんですよ。これ、子供や妊婦さんに勧められる商品なんだっけ?と考えた時に、どうしても首を傾げてしまう。
だからMorning Ritual(朝の儀式)は余計なものを入れず、自然由来の成分だけで作りました。ホエイプロテインを軸に、ビタミンの代わりに野菜の粉末と、腸内環境を良くする乳酸菌とオリゴ糖が入っています。
もう一つのこだわりは、女性に向けて届けたいということ。
日本の女性はダイエットという呪いにかかっていると思うんです。みんな痩せたい。
ジムを始めてからいろんな人の体を見てきてわかったことは、日本の女性って本当に筋肉が少ないんですよ。
そんな状態で体重だけ落としてしまったら、残るのは骨と皮みたいな体ですよね。それって本当にあなたの望む「痩せた自分」なのかな?と思ってしまう。

とはいえ正論では人は動かないし、プロテイン=マッチョの飲み物、という誤解が解けるわけでもない。彼女たちが「飲まない」「飲みたくない」という理由をなるべく消していこう、と思ったんです。商品名にプロテインと入れないことも、大袋ではなく個包装にしたのもその一環です。

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晴れた朝、海が見えるホテルで、素敵なガラスの器に入れたヨーグルトに、Morning Ritualを振りかけて蜂蜜を垂らす...みたいな世界観を作りたかった。

神田:いい商品を作って、確実にターゲットに届けるためにパッケージにもこだわる。すごく本質的な戦略ですね。
:運動指導者ならみんな知ってるし実感していると思うけど、運動だけでは人の体は変わらないですよね。運動・栄養・睡眠の小さな日々の積み重ねが習慣となり、人生を変えていく。
クライアントの人生を変えうる存在として、どんな選択肢を示すのか。願わくばそれは自分が心から価値を信じられる誠実なものであってほしいなと思います。

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