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野球好きのおっちゃんが最終的に高校野球にたどり着く理由がわかった気がする


これは、人生の半分以上お笑いオタクをやっている人間が、ついにNSC生にハマったという記事。話題の中心は、大阪NSC44期生の面々だ。


自分は地方住みの社会人で、全部が平均点みたいなどこにでもいる普通の24歳だ。オンバトやAGEAGE LIVE時代からお笑いが好きだが、細々と「見るだけ」の生活が続いており、これといって何かを発信する側に回ったことはない。
しかし今回、大阪NSC44期生集大成のライブ、「大ライブ」のアーカイブをお笑いファン全員に見てほしすぎてこのnoteを書くことにした。こんな衝動は生まれて初めてだ。


NSCとは「New Star Creation」の略で、天下のよしもとのお笑い養成所である。

お笑いファンは、「今年のNSCは凄い」という言葉を各所で聞いていると思う。ゾロ目の期は豊作だというジンクス通り、東京ではキングオブコントで青いデルタさん、大阪ではM-1で軍艦さん、R-1では準新作さんと、賞レースで結果を残している方々が沢山いる。過去最高の戦績だ。

かくいう自分も賞レースきっかけでNSC生がハイレベルなことを知った。初見の人だなあ、面白いのになんで知らなかったんだろう。そう思って調べたらデビュー前で、成る程知らないわけだ!といった流れで彼らの存在を知る。

NSC生って面白いんだ、なら他のコンビも見てみよう。そんな軽い気持ちでNSC生が出演しているYouTubeを見た。これが全ての始まりだった。

1分間のショートネタ、アピールコーナー、ベテラン芸人さんたちとの絡み。ショートコントや自作ゲームの提案。

NSCに入学して間もない彼らが、磨いた芸を、武器を、一生懸命発揮していた。初々しさの中に、確かに光るものがあった。ぎょっとするほどうまいコンビも居た。雰囲気がある、オーラがある。ネタ中に印象に残るフレーズがある。感じた魅力は様々だった。

気付いたら朝になっていた。過去の配信を徹夜で見てしまったのである。

そう、凄いのは賞レースで結果を残した彼らだけではなかったのだ。NSC生全体がとんでもないレベルなのだ。お笑い界全体のレベルが凄まじく底上げされているのだ。


今回のライブは、予選約8時間に決勝約1時間。計9時間弱におよぶ狂気のスケジュールだった。換気休憩をのぞき、ライブはほぼノンストップ。

日頃から超若手を推している友人からは、「50組出るライブでも途中で手首切りそうになったよ」「頃合いを見て抜けて1時間ぐらい休んだほうが良い」「なめてたら死ぬ」と忠告されていた。自分は120歳まで生きたいタイプの人間なのでここで命を失うわけにはいかず、友人の忠告通り休憩をしながら見るつもりだった。

だが無理だった。面白すぎて、165組全員見ざるを得なかったのだ。モダンタイムスさんを40のサンドペーパーぐらい荒くしたみたいなコンビもおったけど。


まず全体の感想として、シンプルに感動した。NSC生、アマチュアのレベルはこんなところまで来ているのか?と震え上がるほど面白かった。

「アマチュアなのにおもしろい」とか、「芸歴0年目の割によくできている」とかではなく、純粋に「面白くてうまい」と思ったのだ。

例えば構成、例えば設定。飛んでしまった時のリカバリーや、過去に見たことのない全く新しいネタの切り口。上げ出すとキリがない。

想像を膨らませてもらうために例えてみようと思う。

2021のM-1でヨネダ2000さんのネタを見た時のような、言語化できない感覚に訴えかけるような笑いがあった。

マヂカルラブリーno寄席の時の永野さんのような、思わず吹き出してしまったピンネタがあった。

ママタルトの檜原さんのような、絶妙な空気感に笑ってしまうツッコミがいた。

男性ブランコの平井さんのような、言葉のチョイス一つで心を掴むようなフレーズがあった。

ジャンルこそ違うが、ももさんレベルに漫才のフォーマットが確立しているコンビも居た。

流れ星ちゅうえいさんのようなギャグマシーンが頭角を現していた。

ライスさん並みの演技力を発揮しているコント師がいた。

何度も何度も、賞レースの決勝を彷彿とさせるような拍手笑いの大爆発があった。


伝説をこの目で見ていると思った。

カンの良い人には、表題の意味を既にご理解いただけたのではないだろうか。

プロ野球の試合を見に行けば、誰もが満足できるクオリティがそこにある。洗練された技術のぶつかり合い。百戦錬磨の選手たちが織りなす攻防。特別野球を好きでない人がドームに足を運んでも、必ず皆が熱狂する。

しかし、野球好きのおっちゃんたちは一周まわった先で高校球児に陶酔する。

そこに「プロ以上」の技術があるかと聞かれたらそんなことはない。「プロ並み」のエースは数名居ても、全員が全員そうではない。それでも1回戦から足を運び、熱心にメモを取り、進んでいくトーナメント表にマーカーをひいて一喜一憂する。

何故なら、「そこにしかない魅力」があるからだ。プロからでは得られない、胸を打たれる何かがあるからだ。

あくまで例えとしてプロ野球と高校野球を出したが、近しい感覚に覚えがある人も多いのではないだろうか。

お笑いも同じだ。なんばグランド花月やルミネtheよしもとに行けば、日本最高峰の笑いがある。勿論それらのこともたまらなく好きだ。NSC生にハマった以降も、そうした劇場には足を運び続けている。

しかし、今自分が陶酔しているのはデビュー前の彼らなのだ。彼らのことを、どうしようもなく応援したいのだ。彼らの魅力を、たくさんの人に知ってもらいたいのだ。

プロの面々と比べればそれはもちろん荒削りで、うまさもなにも勢いと声量だけでまかなっていたコンビも中にはいる。それでも、9時間のライブを完走出来てしまったのだ。たしかに心が動かされ、笑い、自然と拍手をおくってしまったのだ。こんなnoteを書くほどには。

この熱量から、ライブの全貌が気になってくれた人もいるのではないだろうか。ここで改めて配信のURLを挟ませて欲しい。

そしてこちらも見てほしい。(画質対策のためファイル添付)

とにかく配信を買ってほしすぎて開始時間表まで作った。

決勝進出者した8組の予選ネタ、決勝戦だけでも見てほしい。(決勝のTTはこちら)


チケットはたったの2000円。1組あたり12円で見れる。未来の賞レースチャンピオンかもしれない芸人さんの2分ネタが12円だ。そんな馬鹿な。1万円払ってもよかった。自分は、チケットが1万枚売れて彼ら1組あたりのネタの価値が12000円に引き上がる世界が見たい。

流石に9時間全部見てくれとは言わない。代わりに、このExcelファイルを参考にしてほしい。


PCで開けば上のタブから漫才やコントなど形式別で絞り込むこともできる。こちらにはネタバレしない程度にテーマが書いてある。全員凄かったのは大前提として、自分が個人的にお勧めできる人たちのところには推しポイントも書いてある。(箇条書きのため上からに感じさせてしまった場合は申し訳ない、他意はないです)

長尺の配信だがあっという間に感じるはず。
彼らは卒業後トップスピードで劇場に所属することになるだろう。そうなった時、「デビュー前から知っててんで」と言えたら、なんだか鼻が高くないだろうか。

とんでもなく面白かったのに、大ライブをもって解散してしまったコンビも既にいる。推しは推せる内に推さなければ推せなくなる。どんなに面白い芸人さんも永遠ではない。解散してしまう可能性がある。だから見れるうちに見よう。後悔はさせない。

チケットの販売は3/9 12:00まで、見逃し視聴は3/3 12:00~3/10 12:00までだ。

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