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住みたい街

 今年に入って新型コロナウイルスがあっという間に世界中を飲み込んだ。じっとしていられないボクの性格としては、本当に厄介だ。コロナ渦の中、色々なことが制限され、今までできたことができなくなった。まずは、日常生活でも外出することがいけないことかのように思われるようになり、スーパーに行くことすら満足にできない世の中になった。行きつけの洋服屋は、営業自粛になり、顔を見せることすらできなくなった。旅好きなボクとして一番きつかったことは、Jリーグのアウェイに行けなくなったことだった。今年は、京都に新しいスタジアムが誕生し、ぜひ観戦しに行きたいと考え、計画をしていたが行けなかった。

 様々な制限に加え、家にいる時間が増えた。しかし、家での時間の過ごし方を知らないボクにはとてもきつかった。今まで外出することでバランスを取っていたが、それができなくなったのだ。旅や外出することで、自分の見聞を広げることができていたような気がしていたボクにとっては、視界が一気に狭まり、何をどうしたら良いのか路頭に迷ってしまった。家の中では、会話がなくなり、緊急事態宣言が明けてからはその反動から毎日のように飲みに行った。何が正しくて、何が間違いなのかわからなくなった。

 自分の人生が行き止まり一気に視界が狭まり、このままで良いのか、何かを変えた方が良いのではないかなど、様々なことを考えた。仕事はこのまま良いのか、住む街を変えた方が良いのか、人生をリセットするのはこのタイミングしかないのでないか。どれも間違いではないとは思う。だが、正解でもない。どっちつかずのまま、いたずらに時間は過ぎるばかりだった。

 まずは、住む街について考えようと思った。現在、福岡に住んでいるのが、このまま井の中の蛙のままで良いのかと思うことが多々あった。福岡は、今、日本の中で一番勢いがある街だと言われることがある。ボクも、福岡が大好きで、ココを離れるということはどういうことなのかと考えることがある。福岡にはなくて福岡より大きな都市にあるものは、どういったものがあるのだろうと思った。例えば、東京だ。東京には、ボクの知らないことがたくさんあると思う。それぞれの街にそれぞれの色があり、その街に合った生活があるのだと思っていた。

 今年に入り、何度か東京に行った。東京には、福岡より優れたものが多い思い込んで行った。最初の方は、確かに福岡にないものがたくさんあると思った。渋谷には渋谷スカイがあり、東京を一望できる大きなビルがあった。原宿には日本を代表する有数のショップが点在してた。しかし、気が付いたのだ。福岡にあって東京にないものもたくさんあることを。

 福岡は、コンパクトな街だ。福岡の中心地にいれば、ある程度は歩いて行動できる。博多駅、天神、中洲、どこにいても歩いて移動できるのだ。博多駅から買い物をしに天神に歩いて行くことだってできるし、買い物が終われば、天神やその周辺で飲みに行くことも容易にできるのだ。しかも、高いクオリティのお店に行けるのだ。

 コンパクトな街。良いところがギュッと詰まった街。ちょっと行けば自然が豊富な街。笑顔が溢れる街。活気がある街。それが福岡だと思う。東京に住んだわけじゃないのではっきりしたことは言えないが、福岡には福岡の良さがあるのではないかと最近やっと感じれるようになった。どこかで比較し、ボクの知らない何かがあるのではないかと焦っていたような気がする。この街の良さは、どこにも負けない。この街にしかない。そう考えるようになった。

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 ボクは、当分、この街に住み続けるだろう。この街が進化し続けるところ、ずっと見たい。

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