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2023.11.12 物云わぬ物怪

 tacicaのツアー、物云わぬ物怪のセミファイナルに行ってきました。とても複雑な、申し訳ない気分で、それでもすごく楽しみにしながら。無理のない日程で聴きに行くことができる日が続いていることに感謝です。

 tacicaの曲からは、多くを語られなくても景色や感情が伝わってきます。そこに歌われているのが広く遠いものであっても、身近な小さなものであっても、心を動かされる表現があり、世界観に引き込まれてしまう音楽。この日は、そんな壮大でもあり繊細でもあるtacicaの一曲一曲がこれまで以上に温かく丁寧に伝わってきた気がした時間でした。

 新しいアルバムの新しい曲は弾き語りで聴いていても違う形で聴くとまた新鮮で、その曲たちの間に演奏される曲の選曲も一部は少し意外で、どれもとても嬉しいものでした。ゆったりと聞かせていただいたお話の中では、拍手と必ず伝えてくれるお礼の話や、昔学んだローマ字表記と最近の表記の違いの話、CDという形あるものでの音楽の購入についての話が印象的でした。拍手とお礼は常に双方が快く受けとめられる予定調和のものではない真心の込もったものであってほしいと思ったり、長い歴史の中ではほんの少しの期間の間にも考えかたや技術の変化があることをふと感じたり、頭が固いと思われようとも形あるもので音源やその他のものがほしいと思ってしまうことが少し許されたような安心感を得られたり、些細なことかもしれませんがいろいろ考えた時間でした。

 世界の綺麗な風景、それだけの美しさもそこに蔓延る人の感情のいろいろも、人間ではない生き物に寄り添ってみることのできる視点の曲も、tacicaだけの唯一無二で、そこに宿っているものを確かに感じたライブでした。どんな感情を抱えて行っても、最後には聴きに行けて良かったと思える時間になっていることに感謝です。






 読んでくだりありがとうございました。

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