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FUJI ROCK FESTIVAL '24 Day2 感想

2日目。Beth Gibbonsだけ熱量のバグった感想が読めます。1日目はこちら↓


11時過ぎに宿を出発してトクマルシューゴを目指すが、なんだかんだで11:45頃に到着着。改めて徒歩40分って遠すぎる…。午前中のヘヴンのアクトに辿り着ける人間は全員偉い。

トクマルシューゴ @FIELD OF HEAVEN

祝祭感の中にもしっかり足腰の強さを感じられるアンサンブルで、昼間のヘヴンで観るのに最高のやつだった。まずもってギターがうんまい。ガツガツしたストロークで楽曲を駆動していくプレイに自然と身体が動く。

ナガノから新譜の応援イラストを貰ったりしている関係からMCでちいかわの話に。ちいかわの曲らしい「ひとりごつ」という曲を披露していたけど、こんな渋い歌詞なの。

最後の数曲にゲストとして家主から田中ヤコブが参加していたが、正直プラスの要素はそれほど感じなかった。特段フィーチャーされるわけでもなく、サウンド的な異物感を残していた印象。

ホワイトのSyrup16gをチラ見しながらTLDPの待つグリーンに向かう。結構歳を取ってもあの声は変わっていなくて脳がバグる。グリーンまでのボードウォークで生活のイントロが聴こえてきて発狂した。1曲前にやってくれ。

The Last Dinner Party @GREEN STAGE

壮大なスケールの楽曲群を音源と遜色なく鳴らしきる若手らしからぬ演奏力の高さが感じられた。日本での今後を占う大きな意味を持つステージだったのでは。完全にグリーンで正解、というか”正解にして”いて凄かった。

特にギターのエイミーのフレーズセンスが再認識できる良いライブだった。Nothing Mattersのギターソロを筆頭に、ハッと惹き込まれるようなソロが何度もあった。メンバー5人全員が割としっかり歌うし全員歌が上手い。コーラスワークの妖精的な美しさも素晴らしかった。ラストのNothing Mattersでの大団円も素晴らしかったな。既にインディ・ロック・アンセムの風格漂っていた。

オーディエンスの導き方を含め、ステージングにもかなり気を配っていてまだまだ大きくなりそう。ベースのジョージアによる日本語でのMCやコールアンドレスポンス、客降りなどサービス精神旺盛だった。5人全員が方向性の違う華々しい衣装というルックの良さも大きなステージに映えていた。


このあたりで雨がパラつき、マーキーが人で溢れる。Glass Beams観たかったが後方は一切身動きの取れない地獄だったので断念。折坂悠太に向けて飯爆食いタイムとする。よく話題になっていたハイジカレーを食べた。夏野菜トッピングして野菜不足を補う。この後も詰まっているので舞茸天蕎麦も食べちゃう。

折坂悠太 @WHITE STAGE

フェスでばかり観ているが既に5回目?新譜も出たので少しモードの変わったライブを期待。昔からやっていたけれど、アルバムでさらに進化していた無言の現在地が楽しみ。

今回はVo, Gt, Dr, cb, saxの5人編成。リハーサルでRadioheadのHow to disappear completelyの演奏に合わせて七つの子を歌う折坂悠太というよくわからないレアな光景を観ることができた。あのベースラインの偉大さも知る。

全体的に以前まで漂っていたような切実さや緊張感といった要素が緩まり、穏やかさと余裕を感じさせるムードに変化していた印象。これは決してネガティブなことではなく、良い時計の進め方をしているなと。

新譜からハチスの優しい風が肌を撫でるような軽やかな演奏が心地よい。
中盤の努努からアンサンブルのギアが一段と上がった印象。今日の取り組みはギターとサックス。見事でした。凪の間奏のスリリングな味わいがライブで観れたのも嬉しかった。

安定の良さではあったけれど、途中で集中力切れてしまって没入できず。明らかに直前のドカ食いが効いていてアホすぎる。かなりライブでのアレンジに期待していた『無言』が無かったのも心残りだった。

NONAME @RED MARQUEE

hip-hop初心者の自分が観るにはあまりにもフリーキーが難易度高く感じてしまうけれど、音源よりも親しみが持てる感じの緩さのあるアクトでほんの少し和解した。

Beth Gibbons @GREEN STAGE

今日の大本命。40分前から待機して前から3列目くらい。かなり空いているけどそりゃこの音楽を最前でギュウギュウになりながら観たい人間は少ないよね。RoadsやThe Ripが来たら絶対に目に焼き付けることを心に誓いながら待機。

Tell Me Who You Are Today
Burden of Life
Floating on a Moment
Rewind
For Sale
Mysteries (Beth Gibbons & Rustin Man cover)
Lost Changes
Oceans
Tom the Model (Beth Gibbons & Rustin Man cover)
Beyond the Sun
Whispering Love
Roads (Portishead song)
Reaching Out

ちょっと言葉に尽くせないほど素晴らしすぎて放心状態…。冷たい水に身体が沈み込んでいくような幽美なボーカル、怪しげに蠢くビートと悲痛なストリングスによる天地をひっくり返すようなダイナミクスなど、圧巻のアンサンブルでグリーンステージを異世界に変えていた。凄すぎる。

1曲目のTell Me Who You Are Todayから、生の音がそのまま肌から浸透するようなリッチな手触りと、大所帯にも関わらず全パートが聴き取れるほど完璧に分離された極上の音響に感動。特にヴァイオリンの音が素晴らしく、グリーンステージの本気を見た。その中で何かを削り取るような不穏な響きのベースが磁場を歪めている。

2曲目のBurden Of Lifeの時点で今年の3日間のベストアクトに確定するほどの感動があった。深淵から響くような底暗いパーカッションと地獄からの呼び声のような霊的なコーラスが闇を運ぶ。グリーンステージ丸ごとを彼岸に連れていくような超然としたパフォーマンスだった。

終盤のBeyond The Sunで壮大なクライマックスに号令をかけるシーンは完全に闇の女王(?)だった。この曲を含め、叫び声のようなロングトーンがアンサンブルの濁流に飲み込まれ、ストリングスやギターのノイズと同一化していくシーンがいくつかあり、その儚さと神々しさに痺れた。これはPortisheadのの頃から好きだったポイントで、垣間見ることができて嬉しく思った。

Roadsを目撃することができたのは完全に人生のハイライトの一つ。嗚咽を噛み締めながら歌うようなボーカルはあの頃のままで、その立ち姿も含めて感じ入ってしまった。ラストはReaching Outで再び壮大なフィナーレへ向かう。

前回のフジロック出演をキャンセルしているという経緯もあり、気難しい人なのかと思っていたら、MCでは肩を竦めておどけて見せるシーンがあったり、カンペを持ち込んで日本語で『皆さんはやさしい』と語りかける場面もあるなど、シャイでチャーミングな人柄が伝わってきてかなり意外だった。𝑳‌𝑶‌𝑽‌𝑬。あとすっごいお酒と水を飲んでいた。

総じて本当に良かった。歴代のフジのアクトでも五指に入る最高のパフォーマンスでした。これだけで1日が終わっても良いと思えるくらい。来てくれて呼んでくれて本当にありがとう。会場で見かけたPortisheadのDummyTシャツの兄ちゃんも浮かばれたろう。しかし歴代のグリーンのアクトで1番暗い音楽だったんじゃないだろうか。

客入りについて、流石に人こそ少なかったけれど、前方に集まった熱心なオタク達は長年蓄えた愛を伝えようと熱量の高さをアピールしていた。Roadsが始まった瞬間の割れんばかりの歓声も凄かった。

ベスが良すぎて、観たかったフレシノにも足が向かずグリーンで座り込む。

Kraftwerk @GREEN STAGE

Kraftwerk、過去の3Dライブの話とかからド派手なステージを想像していたら、意外と真面目というかストイックなステージで若干拍子抜け。PA横くらいで観ていたが音圧みたいのもあまり感じられなかった。でも音圧ヤバい!というツイートも見たので場所によるのかも。あまりライブ独自の魅力を感じられなかったので20分くらい観てgirl in redに移動。今思えば音楽世界遺産としてしっかり観ておくのも良かったかもしれない。

girl in red @WHITE STAGE

バンド全体で想像を遥かに超えたエネルギッシュなプレイで驚いた。めちゃくちゃ暴れながらずっと歌は上手くてどうなっているんだ。

やはりインディー・ポップ好きの自分としては初期のbad idea!やgirlsでアガる。girlsのギターめっちゃ良い。一方で爆音で聴くserotonin、特に後半の晴れやかなパートは素晴らしかった。i wanna be your girlfriendは立派なインディー・ポップ・アンセムの風格。

ポップな楽曲が次から次へと湧いてきて凄かったが、75分くらいでアンコール無しで終了。曲数的には20曲と十二分なボリュームだけれども。元の楽曲がコンパクトなこともあり、カラーバリエーション的にも90分のヘッドライナー枠は無理があった感じはある。

終演後に周囲の観客の会話から1stアルバムのプロデューサーがフィニアスであることを知る。serotoninとかめっちゃフィニアスだよね!という会話に確かに!と陰ながら大納得していた。それを踏まえて聴くとBody and Mindとかあまりにもフィニアス。終盤の光が飽和していくようなフィナーレとかまさに。

ALI @CRISTAL PALACE TENT

4回目の参加にして初めてPALACEのテントに足を踏み入れる。さぞ怖いところかと思っていたら別に他のステージと同じでおじさんおばさんだらけでした。平和なフェスだ。ここでALIとYIN YINを観ておくことで3日のスケジュールを楽にする作戦。

最高。それに尽きる。ジャカルタ・ファンクでひたすら爆酔キモダンス。ほど良くストイックなリフレインが酩酊した身体を1ミリずつ浮き上がらせていく。純粋な楽しさのパラメーターで言えばここまでのトップに躍り出た感すらある。これパレスで観るのが1番の正解では。日中のヘヴンより更に全員踊り狂っていて最高の空間。勢いに乗ってYIN YINも観る元気が湧いてくる。

腹が減ったのでクリフのけんちんうどんを食べる。ハーフサイズとビールのセットに柔軟に対応してくれて素晴らしい。

YIN YIN @CRISTAL PALACE TENT

ALIよりはしっかり展開があり、一般的な楽曲の構成に近い。より明確なダイナミクスと熱量のあるプレイでこっちはヘヴン向きかもしれない。これだけ和のテイスト強い音楽性で初来日って嘘でしょう。坂本龍一トリビュートとして戦場のメリークリスマスを披露していたが、流石にパレスの雰囲気には合わなかったな。

30分くらい観て眠気に逆らえず宿に戻り、2日目が終了。2日目のベストアクトはぶっちぎりのBeth Gibbonsです。10時起床目標で3時半頃におやすみ。

↓3日目はこちら。


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