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9月あたし日記

手首に書いた赤いスリッパの文字、帰る頃には消えていた。君にはもっとこんな仕事が似合うのに、勝手に決められる価値や必要性。自分の価値は一体何で決まるのか?襲ってくる大きな虚しさとやるせなさ。みんなはどうやって対処してる?誰かじゃ埋められない、なにかじゃ埋められないこんな気持ち初めてじゃない。だけど、私はいつもどうやって乗り越えてきたのかわからない。ねぇ、誰か聞いて?ねぇ、誰か話して?これからの話や自分の価値や考え方、酒を飲みながら誰かと語りたい。くだらないと笑ってもいいよ、わからないの答えでもいいよ、それでもいいからさ目の前の私の話を聞いて欲しい。今してる仕事とか、あなたの顔がどうとか、男だとか女とかもう忘れて目の前の誰かととても話がしたいの。なんて、こんなこと言ったらまた怒られそうだ。けれど、想像するくらいはいいでしょ?空想するだけならいいでしょ?空には雨の降りそうで降らない曇り空、泣くに泣けない私みたいな空だ。
2022.9.2

防火水槽の入れ替えで、私の金魚たちがいなくなった。15:15福岡空港で待ち合わせ、金のシャチホコの前で合流。ビールとつまみを少し食べて、大濠公園へ向かった。それから愛知のお土産を食べながら日が暮れるまで水の流れを見ていた。色んな種類の犬たちに夕暮れ時に飛び出すコウモリ、色や形を変える池の表情とか月の高さで当てる時間。一緒にいると初めての気持ちや色んな発見があるからとても楽しい。夕暮れ時、寂しくはならなかった。帰り道に話したバイト先で勝手に決められた自分の価値についての話。結局自分の価値は一体なにできまるのか?なんて分からないけれど、赤の他人に決められた評価で気を落とすことはないいと思えた。とてもシンプル、だけどそれでいい。難しく考える必要はなない、大事な人の言葉にだけ耳を傾ければいい。今はそれで大丈夫。9月の帰り道、涼しい風はいつかの思い出を運んできた。
2022.9.4

今日はレゴを作り続けるバイトだった。時間をかければかけるほど、手がかかればかかるほど愛おしいなんて何が愛で何が執着か分からないほどこのふたつは密接に繋がってる気がする。結局、愛と執着の違いなんて本当はないんじゃないの?帰り道通ったフードコートの設計は僕の奥さんがしたんだと高校の美術の先生が嬉しそうに言っていたのを思い出した。私はあの先生の情熱が好きだった。運動部の先生の近づくだけで汗をかきそうな情熱ではなく、心の奥にひっそりと燃える青い炎のような情熱がすごく好きだった。やる気のなさそうな猫背に、重たい瞼、気取るげな喋り方。だけど、やる気のない生徒や生意気な生徒にはチョークを投げる変な人。帰り道の風が涼しすぎて、思い出ばかりに浸ってしまう。そんなセンチメンタルな気分を飛ばしたいがために地元の友達に飲みに誘った。けれど、友達との話題は結婚とお金の話ばかり。子どもが欲しいがために、働きたくないがために結婚したいなんて私どうしても思えなかった。私は今が欲しくて欲しくてたまらない。結局、これから先の未来なんてあとからついてくるものでしかないでしょ?なんて、言う私もいつかはその友達の気持ちがわかったりするのかな?大人になる1歩は臆病になったり、慎重になることなのかもしれない。私のセンチメンタルはこれから先死ぬことは無い気がした。
2022.9.7

車窓から見える見慣れた景色、頭を垂れる稲穂に輝きと揺らぎを持たせるは夕日と南風。昨日、教えてくれた言葉を思い出す。一人の時よりも独りに感じる時間、本当の心を丸裸にしてしまう。電車に迷いこんだトンボに、自分を重ねる。出口も分からず焦る迷い込んだトンボをみんなは白い目で見る。私の近くへ来たトンボを手で捕まえた私をみんなは白い目で見る。みんなの目を背に降りたホームで空高くへと飛んで行ったトンボに小さな涙が1粒頬に張り付いた。トンボがいなくなった空を見ながら、みんなが涙を落とす瞬間はいつなんだろうと思った。あなたが涙を落とす瞬間はいつだろうと思った。
2022.9.11

一駅分歩く帰路、その途中で渡された新聞。あまりにも偏った内容の記事、その1番上に映る富士山。それは今まで見た富士山の写真の中で1番綺麗で富士山を見に行こうかなとぼんやりと思った。誰かの煙草の残香、冷たい秋風と一緒に運んできた猫の喘ぎ声と男たちの笑い声。あぁ、秋かと思う。あぁ、もうダメかと思う。もう、いいか思う。なにがだよ、しらねぇ。
2022.9.24

 もう、9月終わってしまった。9月は気持ちが上がったり下がったりでこの9月という気候みたいな1ヶ月だった。最近、漠然と思うのはこのままでいいのかってこと。なんらもなぁ、でもこのままが1番かもね。もうなんでもいいやって投げやりになるのもまた人生か、なんてね言ってみただけ。甘い蜜だけ吸って生活するミツバチならきっとこれが正解です。




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