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田中将大は『オワコン』投手なのか?

まずはじめに私は田中将大という投手が大好きである。

そんな私が一番好きな投手の一人で、野球ファンになるきっかけをくれた男
『田中将大』について解剖していきたいと思います。

近年は世間からの風当たりも強く…?
「マー君はおわった」
「かつての姿はもうそこにはない」
という趣旨の言葉をちらほら耳にするようになりました。

果たして本当にそうなのか、イメージではなく現状の田中将大の姿に迫っていければと思います。


田中将大の現在地

▼ 復帰後2年間の成績

まずは田中投手のの現在地を簡単に把握するために、楽天復帰後の2年間の数字を見てみます。

2021年:23試合 防御率3.01 155.2/3回 4勝9敗 QS率73.9%
2022年:25試合 防御率3.31 163.0回   9勝12敗 QS率60.0%

と『スーパースター・田中将大』に期待されていた、勝ち星を積み重ねるという成績には正直程遠いもので終わっています。特に期待されていた2021年にわずか4勝しかできなかった結果に驚いたのは私だけではないでしょう。

▼ 2013年と2022年の平均球速の差

2013年:平均147km 最高156km
2022年:平均146km 最高154km

引用:http://xdomain3pk.html.xdomain.jp/hke.html

と意外にも全盛期のころと比較しても大きな球速低下がないことがわかります。では、なぜ以前のような活躍が出来ていないのでしょうか?


考えうる原因

▼ NPBの高速化

近年のNPBの投手の高速化は著しいです。
わずか10年で平均球速が約5キロも上昇しています。

このデータからも分かるように、先述の今季の田中投手の平均球速は146キロとちょうどNPB平均と同値です。

先ほど比較した田中投手自身の平均球速の比較では大きな変化はありませんでしたが、2013年当時の田中投手のNPBにおける立ち位置は平均141キロに対しての平均147キロだったため、「速球派」だったのに対して、現在はNPB平均レベルのスピードの投手へとなっていることがわかります。
(ここには'13年の平均球速は載っていませんが…!)

この辺りが当時と比べて打ち込まれる原因と考えられそうです。


▼ 高めのストレート

(※こちら有料記事となりますので引用は控えさせていただきます)

要約すると、実は田中投手はフライボール革命真っ只中のMLB時代に身につけた「高めのストレート」、こちらをNPB復帰後にも採用していましたが、どうやらこれが裏目に出ていそうです。

日本に復帰してからの田中投手、ことストレートに関しては打者に打ち返されている印象を持つ方も多くないと思います。実際にデータを見てみても、

引用:https://baseballdata.jp/playerP/700069_course.html

というように高めの球(ストライク、ボール含めて)をことごとく打ち返されていることがわかります。また、そもそもストライクゾーン内で勝負することが難しいことが見てわかります。

やはり、ただの印象だけでなく実際にデータでも打ち返されていることがわかります。

「では田中投手は今後どのように戦っていけばいいのでしょうか?」

そのヒントとなりそうなものを以下で記していきたいと思います。


今後の活躍に向けて

▼ 変化球主体のピッチング

まず一つ目の提案は『変化球を中心とした投球』へのシフトチェンジです。

というのも、実は前述の「平均球速問題」は数年前にMLBの舞台で一足早くぶつかっていました。その時のことを田中投手本人はこう振り返っています。

引用:スポーツ データ・コロシアム「田中将大 3年の軌跡」より

と「MLBの高速化 / 高品質化」の時も被害を被っていた田中投手。
そこで生き残りをかけて編み出したスタイルが『変化球主体』のピッチングです。

引用:https://baseballsavant.mlb.com/savant-player/masahiro-tanaka-547888?stats=statcast-r-pitching-mlb

こちらMLB時代の田中投手の投球に占める各球種の割合を表すグラフです。
キャリアハイを叩き出した2016年に着目すると、4シームの割合がわずか10%以下ということがわかると思います。

反対に、スプリットやスライダー、シンカーの割合がそれぞれ20%を超えるなど『変化球主体』でボールを動かしながらMLBの打者たちを打ち取っていたことがわかります。

この投球スタイルを日本でも体現できるかが今後の田中投手のカギとなってきそうです。


引用:https://baseballdata.jp/playerP/700069_4.html

こちら2022年の田中投手の投球割合のデータです。
こちらを見るとわかるように、

スプリット 被打率.228 空振率 18.92%
スライダー  被打率.228    空振率 17.99%

と特にこの2球種はまだまだ通用するボールであり、昨年のパリーグ被打率ランキング4位相当の数字(加藤貴之.226と上沢直之.230の間)でNPB屈指のボールと言えそうです。



▼ 投球コースの徹底

そして2つ目の提案が『投球コースの徹底』です。

引用:https://baseballdata.jp/playerP/700069_course.html

こちら前述したコース別の被打率成績です。
こちら黄色い枠線の被打率がとても低く、田中投手の奪三振のほとんどがこのコースで取っていることがわかります。

つまり、この黄色枠線にいかにストライクからボールへの投球をできるかが焦点となってくるでしょう。

O-SwStr%(ストライクゾーン外投球数に占める空振りの割合)がスプリット / スライダー / チェンジアップが高水準のため、これらのボールをいかにコマンド良く投げられるかが田中投手の今後の生命線といえるのではないでしょうか。
(※データが増えすぎたため割愛。もし見たい方はこちら


まとめ

まだまだ活躍の余地があると思います。
今後も第一線でやっていくためには2016年頃のピッチングを再現、再構築するのが効果的ではないかという結論で締めくくりたいと思います。

具体的には

■ スプリットとスライダー(+2シーム系)を中心に
■ 低めのストライクからボールゾーンへのコントロール

こんなピッチングが大事になってくるのではないでしょうか。


エピローグ

▼ 価値の『再定義』

野村克也元監督から呼ばれていた『神の子』

のちにシーズン24連勝(前年とポストシーズンまで含めると30連勝)も相まってこの名称が一人歩きしている気がします。

かつての偉大すぎる栄光が現在の姿と悪いギャップを生んでしまっている。
そこで私は田中投手を
『大一番での勝負強さを持つイニングイーター』
として再定義したいなと思います。

【シーズン投球回数】
2022年 パリーグ3位
2021年 パリーグ6位    と安定

また、球団新記録となる11連勝がかかった試合で完封するなど勝負強さは相変わらず。今後も大一番で勝利を手繰り寄せるピッチングをしてくれるでしょう。

※引用:球団公式YouTube


▼ 最後に

そんな田中は今シーズンからフォーム変更で足の上げ方を変えるとのこと。

ここで田中投手本人はこう語っています。

『衰えているとかは感じていない。だからこそ、まだまだ出来ると思うし、今やっていることがうまくいけば、また変わっていくかな』

引用:2023年1月26日付 日刊スポーツ


弱冠24歳でチームを初のリーグ優勝、日本一まで導いた剛腕の姿ではないかもしれないが、今後も違ったスタイルで我々ファンを魅了してくれるに違いないでしょう。


以上ボブさんでした!
最後までご覧いただきありがとうございます!

■出典


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