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記事一覧

その流儀

 加古川刑務所の一般区には、まだ顔つきが犯罪に染まっていない連中が集まる。変な初々しさと…

元ホテ
1年前
23

1000倍

「さすがに手が震えましたよ。10万円ですからね。100円が10万円。いや、正確に言うと800円、で…

元ホテ
1年前
46

男女の友情

 明るくて短い髪に、コーヒー色のニットベストがよく合っている。切れ長の目と薄く整った唇か…

元ホテ
2年前
18

杪夏の鈴虫

 鈴虫の鳴き声につられるような夜だった。衝動買いしたコーチジャケットをクローゼットに仕舞…

元ホテ
2年前
24

イタチとナマケモノ

ナマケモノくんはギャンブルが大好きです。 とりわけ舟の競走がお気に入りで、いつも最終レー…

元ホテ
2年前
22

水面

 水面の青は、あらゆる色相に跨っていた。  航跡が上がるにつれて、心地よい高揚を認識する…

元ホテ
2年前
61

青嵐

 ナポレオンが消えた。  新緑に被さる朝靄は、どこか荘厳であった。いつものようにナポレオンを誘って、拾い煙草で一服つけるつもりだった吉川は、生あくびをするほかなかった。 「ナポさん、仕事っすか?」  路上で缶に細工をしていたサワムラに声をかけた。汚れた髭を撫でながら、缶のプルタブにライターの火を近づけている。答えはなかった。サワムラの日課の邪魔をしては悪い。吉川は返答がなければさっさと立ち去るつもりだったが、その無言に胸騒ぎがした。 「え、まさか――」  その先は続けられなか

 目が覚めると、男は崖の端に立っていた。重たい雲が遠くに見える。それを跳ねのけるように、…

元ホテ
3年前
10

 いつものようにレモンサワーとハイボールを買い込んで、古くさいインターホンを押した。甲高…

元ホテ
3年前
17

鮮やかな暗闇

   不快な音に起こされた。顔に汗の玉が転がっているのを感じる。どうやら寝ている間にリモ…

元ホテ
3年前
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