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パワハラ問題について

先日、クライアント担当者の方とランチをしました。気軽な情報交換でとても楽しかったものです。興味深い話もいくつか聞きました。「最近ではビデオ会議の時、部下に画面をオンにして、と言うのがパワハラになる」。特に部下が在宅の場合、そうなる可能性があると言うのです。オンラインに限らずパワハラはとてもナーバスな問題で上司も部下も気を遣うのですが、ビデオ会議での画面オンも、いまやそう見なされていることに愕然としました。もっとも話を聞いた方の会社だけかもしれませんが。いずれにせよ、仕事のアウトプット以上に人間関係や労働状況に気を遣うことが多い時代だとあらためて感じます。つくづく仕事が出来るかどうかは、本当にコミュニケーション能力に依ります。

パワハラというのは、個々人の主観・受け止め方の要素が大きい。もっと言うなら「A課長がB課長と同じ行動をとったとして、A課長はパワハラになるがB課長はパワハラにならない」などというのも現場では多いようですね。そこには「B課長はリスペクトしている、信頼している」「B課長は好き」だけど「A課長はそうではない」ということもある。またA課長がデジタルに疎かったりすると起こるデジハラや逆パワハラはその典型でしょう。この場合、自分は当事者ではないがA課長に対する周囲の評価が影響している。つまり行動以上に「誰がやったか」がポイントになるようなのです。これでは上司も会社も対策を立てようがないと思います。もちろん、そのようなリスクのある言動を事前に知り、意識的にそれを避けることは出来ても、それで「好き・嫌い」までコントロールすることは出来ない。ましてや「画面のオン」のような新しい状況が出てくる世の中では尚更です。上司は本当に大変です。一方でパワハラ研修やアンガーマネジメントを学びながら、部下からはパワハラだと言われる。

好き・嫌いを超えて、本当にブラックな上司のパワハラで辛い思いをしている人は多いし、同じく部下が上司を責め立てる逆パワハラも問題だけれど、第三者からは「お互いに消耗戦」のように見えます。そもそも相手を変えることは出来ないのだから、相手と距離を置くしかない。要は異動、または転職です。それが当事者同士にとって一番良いのではないか。そしてその回数を会社はカウントすることで、その上司なり部下なり、当事者たちの評価もできることでしょう。あまり良い評価にはならないでしょうね。そう考えるとパワハラ問題は、結局、誰も幸せにしない結果しか待っていないと思います。