グローバル経済は本当に終わるのか?
コロナ禍によってグローバル経済が終わるのではないかという議論がありましたが、今回のウクライナ情勢によって「終焉論」は更に加速しているようですね。「戦争が平和的に解決され、ロシアに対する制裁が撤回されたとしても、外国企業はこれまでと同じようには投資しないだろう(【私たちが知っているグローバリゼーションの終わり】/ゲント国際ヨーロッパ研究所。日経新聞4月10日)」。
そもそも、ことの発端は米中摩擦。そこにコロナ禍で世界的に需要は冷え込み、供給は停止しました。さらに今回の戦争でエネルギーや農産物、半導体などに影響が出る。グローバル経済のいくつかの分野から変わっていく未来を僕たちは見ている。情報、金融はまだこれからでしょう。どんなことでもそうだと思いますが、すべてが一気に変わるわけではなく変わりやすいところから徐々に変わっていくのでしょうね。この傾向は企業戦略や競争戦略にも通じる考え方だと思います。「まずは勝てる見込みのあるところから一つ勝つ」「次にもう一つ勝つ」「そして最後には状況が変わっている」。
グローバル経済が終わるというと、僕などは1930年代のブロック経済とその後の世界を連想してしまい漠とした不安を感じますが、公平に言えば次の時代への「変化の原因」だとも思います。いままで当たり前だった石油やエネルギーが高騰すれば自然と代替エネルギーの開発や実用化が急速に進む可能性が出てくるでしょう。外国に食糧やエネルギーを依存する低い自給率の問題も解消されていくきっかけにもなるでしょう。産業の空洞化や国内雇用も解消されていく可能性もある。危機がチャンスになる。「変わる動機」になる。そういう意味では将来は明るいのです。