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共助資本主義というビジョン

日経新聞でサントリーホールディングス社長の新浪剛史さんが経済同友会代表幹事として語る記事を見ました。そのなかで心に響く一節があったので紹介します。「経営者は自社を良くするとともに、世の中から評価されることが何かも考えるべきだ。経済人だけでなく社会的企業やNPO法人の方々とも連携し、社会課題の解決に関わる。同友会ではこれを『共助』と呼んでいる。企業が社会課題の解決を支援し、社会から信頼されれば企業価値を高めることにもつながる。これは資本主義であり、日本がめざす共に助け合う社会だと考えている(日経新聞12月2日)」。共助資本主義。経済合理性を超えてしまうことによって、企業が取り組みたくても取り組めない社会課題の解決を官(政府)が支援することにより取り組みを可能にする発想だと思いました。そして結果的に社会課題の解決と日本の経済的な発展を促す。図で示すと次のようになるかなと思います。

例えばA、B、Cの領域にある社会課題であれば、深刻な課題(市場性の高い課題)に対して容易に解決策を提供できるので企業は利益を出すことが出来ます。つまり企業にとって取り組みやすい領域で、現在のNPO法人の多くはここを支援することになります。一方、H、Gは深刻度が高いのに問題解決の難易度も高く容易に取り組むことが出来ないか、仕事の効率が悪くなってしまう。結果、利益を出すことが難しくなる。つまり企業の事業としての経済合理性を超えてしまう領域だと言えます。またD、Eの領域は深刻度が相対的に低く、つまり市場性があまりないので取り組むには魅力が薄い。これもまた経済合理性を超えてしまう領域と言えるでしょう。結果、合理性を超える領域は「国にやってもらえばよいでしょう」となる。本来、国が取り組むのはこういう分野だと思いますが、国もノウハウがあるわけでもない。社会保障や税金の話自体が課題になっている現在では尚更難しいかもしれない。それをあらためて「共助資本主義」というコンセプト(接着剤)を打ち出し、企業に積極的な動機付けを与えるのは素晴らしいと思う。

現在の日本にはたくさんの社会課題があります。ここで一つ一つ挙げることはできないですが、正月にでも一度検討してみようと思います。イメージとしてはSDGsの17の目標が大きなヒントになるように思います。これの「日本版」が出来て、それに取り組む企業が社会的に高い評価を得るようになれば、本当に素晴らしいと思います。 そんなことを考えていたら、これからの企業を進化させるのは共助の精神も含めた「民度」かもしれないなと思いました。いまは企業にしても政治にしても民度の低さが「膿として出ている」ようです。まだまだ出てくると思いますが、それを対岸の火事とせず自らを見直す材料にしたいと思います。