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ブランド&マーケティングの教科書コラム

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ビジネスパーソンが知っておきたいブランドやマーケティングの一般知識、実務的な専門知識を月・水・金曜日にアップします。
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2024年9月の記事一覧

ブランドの25年。消費者とブランドの進化

現代のブランドを考えるとき、2000年代以降、消費者のニーズがどのように変わり、それに応じてブランドがどのような戦略を取ってきたかを振り返るのは意義深いものです。それぞれの時代における社会的な背景や技術の進化、そして消費者心理の変化が、ブランドの在り方に大きな影響を与えてきました。そしてその流れは現在に続いています。今日は僕の独断と偏見(!)で「ブランドの四半世紀」を俯瞰してみましょう。 2000年代はブランドにとって「体験」が重要視されるようになりました。この背景には、イ

時代の変化を捉えたブランド再定義の成功ポイント

真田広之さん主演のドラマ「SHOGUN」がエミー賞を受賞しました。日本の戦国時代を描いたこの作品が米国で高く評価されたことは、過去のヒット作をリメイクし、現代の多様な価値観や技術を取り入れることで新たな成功を収めた好例です。今回はこの事例をベースにブランドの再定義・リメイクについて考えてみましょう。 この事例から学べるのは、ブランドが時代に合わせて新たな価値を提供する「視点の変化と多様性への対応」が欠かせないということです。オリジナル版「SHOGUN」は英国人視点で描かれて

アンブレラかレバレッジか?ブランド戦略の選び方

ブランドアンブレラ戦略は、多様な製品を一つのブランドの下にまとめて展開する手法として知られています。それによって新製品の市場導入コストをあまりかけず、かつ認知されているブランド名を冠することで新製品の成功率を高めるのが目的ですね。しかし、一見するとアンブレラ戦略に見える取り組みが、必ずしも本来のアンブレラ効果を発揮できるわけではないケースもあります。さらに、アンブレラ効果がなくても別の形で成功を収めることがあります。 サントリーのザ・プレミアムモルツ(プレモル)は興味深い事

作り手がワクワクしないアイデアに顧客がワクワクすることはない。

8月24日の日経新聞に出ていた中村修二教授のインタビュー記事を興味深く読みました。中村教授は青色発光ダイオード(LED)の研究で有名です。「日本でイノベーションが生まれない環境の背景にあるのは、特に大学の研究室発のスタートアップが日本で出てこないことだ。米国の工学部の教授は基本的に起業を経験した人がほとんどで、1人の教授が5社ほど創業する。企業の技術顧問のようなこともする。私の3社は少ないほうだ。米国のスタートアップで働く人たちのインセンティブは大企業とは全く違い、成功しよう