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駅前の歌姫

なに、あの駅前の騒がしさは。そこにはひとりの娘の姿があった。そよ風に揺らぐ儚き命の篝火のごとく、その歌声は私の心を熱く灼いた。暑さに負けじと歌い踊る姿に、人々は見入っていた。いかにも可憐な振る舞いではあったが、その歌声には何か深い哀しみが籠っているように思われた。人生の一場面を見た気がした。確かに優れた芸であった。





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