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時間を通貨にするという考え方#3-6

ブルー・マーリン・パートナーズ株式会社は、人々のあたらしい暮らしを支える産業と社会システムを創造する事業創造ファームです。本マガジンでは、「つながりと物語をはぐくむ地域のつくりかた」に焦点を当て、知見をお届けいたします。

時間通貨とは

時間通貨は、時間は全ての人にとって平等であり、文脈とつながりを保全する。このことから、地域経済に適していると考えている。地域内で、掃除や買い出しなどの困りごとの解消、専門知識の提供など、サービスを提供したら時間通貨を受け取り、他の方が提供するサービスを受ける際に活用することができる。この仕組みは部分的に実装されている例がある。

スペインの時間銀行について

世界で既に運用されている「時間」をつかった通貨に、スペインを中心に展開する「時間銀行」がある。 同じ地域や学校など、近い所にいる者同士で「〇〇時間銀行」というグループを作る。その中で運営管理の 担当者(事務局)を数人決め、彼らを通じて時間銀行に、自分が人に提供できるサービス──「英会話」「パ ソコンの修理」「買い物の代行」など──を登録し、必要な時にサービスを頼んだり、頼まれたりす。その際、依頼した人はかかった時間を提供者に支払い、提供者はそれを「時間預金」として、自分がサービスを 頼む際に利用する。メンバー間で何か頼む時は「頼るばかりで申し訳ない」と思う必要がない。時間で返す か、いずれ自分が依頼に応えることで、「持ちつ持たれつ」になるからだ。

スペイン語圏における時間銀行の発展に中心的な役割を果たすフリオ・ヒスベールさんによれば、世界で 最初に時間銀行のような取り組みを行ったのは、実は日本人だという。1973 年に大阪で、水島照子さんが 「ボランティア労力銀行(現ボランティア労力ネットワーク)」を作り、女性たちが仕事や子育ての多忙な時 期、介護が必要な時などに、時間を単位に助け合うネットワークを築いたことに始まる。

そして 80 年代に入ると米国で、エドガー・カーン博士が「タイムダラー(後のタイムバンク)」を提案し、95 年、「タイムバンクス USA」を設立する。米国における公共サービスへの支出が削減されるなか、お金の有 無に関わらず、さまざまな人が支え合うことで、誰もが安心して暮らせるコミュニティーを作ろうと考えたから だ。

この動きは、各地域や担い手のニーズに合わせて形を変えながら、世界へ広がった。例えば米国と同様の社会状況にあった英国では、98 年に時間銀行第 1 号が誕生。現在、全国に約280の時間銀行がある。 時間年金にあったては、その保管期間が長期化する場合に、1時間あたりの価値をどう換算するか、人口が減少し高齢者が増加する将来において、介護を賄うことができるかなどの課題がみられる。

(次回へ続く)


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