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地域通貨に期待される効果と2つの課題#3-4

ブルー・マーリン・パートナーズ株式会社は、人々のあたらしい暮らしを支える産業と社会システムを創造する事業創造ファームです。本マガジンでは、「つながりと物語をはぐくむ地域のつくりかた」に焦点を当て、知見をお届けいたします。

地域通貨とは

地域通貨とは、地域内で使える通貨のことである。期待される効果として、域外の資本の獲得と域内循環量の維持がある。
地域通貨を導入されてきた地域が数多くあり、2000 年代からリーマンショックなどによる法定通貨の価値の 揺らぎに反するようにブームが起こるものの、短期間で活用が消滅してきた過去がある。 「地域通貨の稼働状況調査」によると、2001 年時点で 56 の地域通貨が日本で発行され、年間 50 前後もの 地域通貨が立ち上がる時期が、2001 年から 2005 年まで続いた。しかし、ブームは 2005 年の 306 個を頂 点として終わった。以降は地域で稼働する通貨の数は少しずつ減っており、2017 年に立ち上げられた地域 通貨は 7 個となっている。また、近年の兆候として、ブロックチェーンなどのしくみを用いて、スマートフォン で電子的にやり取りできるものが出現している。

地域通貨における2つの課題

地域通貨においての課題は大きく分けると 2つあり、1 つ目に法定通貨を超えるインセンティブの設計、2つ目に運営維持費の捻出である。
1 点目について、現在日本の法定通貨である「円」は、日本全土においてほぼどこの店に行っても利用でき る。地域通貨は、ある地域において加盟店のみで利用できる通貨であるため、利便性という観点ではどうし ても法定通貨に比べてインセンティブが湧きづらい。ポイント還元や、QR コード決済による決済の簡便化な どさまざまな方法が用いられており、このプロセスは仮説検証しながらインセンティブ設計を洗練させていくほかないと考えられる。

2 点目の運営維持費についてだが、法定通貨制度によって、発行と管理については日本銀行が担い、運用 については、記帳、申告、換金など私たちがコストと認識していない形で国民全体が拠出している。一方で 地域通貨は、換金や帳簿などを新たに住民に依頼する必要があり、また運営団体においては発行と管理 にかかるコストが必要である。コロナ禍では、緊急経済支援の1形態として地域通貨のポイント付与という 形で広がった。

アプリに対する自動給付という形をとっており、申請などなく受取可能なため電子地域通貨の強みを活かしており、有効期限を

設けて、域内経済の循環を狙っているところが注目すべきところだが、その後の持続的な運営体制は、議論の余地がある。昨今の地域通貨では、行政が緊急経済支援の予算から地域通貨の発行・管理コストを捻出しているが、捻出し続けることは考え難い。

(次回へ続く)


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