見出し画像

[NFL]QBレイティングとシーズン勝ち数の関係

NFLは本格的にオフシーズンに入りました。各チームとも来シーズンに向けた編成の話題が多くなってきてますね。
毎年編成の話題の中心になるのはHCとQBですが、これは両者が他のポジションに比べて勝敗やチーム編成そのもののに与える影響が大きいと考えられているからということと、単純にチームの顔としてわかりやすいからという理由によるものでしょう。

HCが勝敗にもたらす影響の大きさは言わずもがな的なところがありますが、QBってどうなんでしょうね?
この記事では過去5年の主戦QBのレイティングと勝敗の関係について探りたいと思います。
その年いちばん先発数が多かったQBを「主戦QB」と定義し(2人以上いるときは主観で選びました)、その年のレギュラーシーズンの勝ち数と比較した全32チーム×5年分の分布がこちらです。レイティングはウィキペディアで調べました。

縦軸が勝利数、横軸がQBレイティングです。
こりゃもうなんとも言えない感じですね。
ちなみに相関係数は0.5759。「相関がある」の範囲内です。

各シーズン10勝をポストシーズン進出の目安とすると、10勝したシーズンのQBレイティング平均値は94.3、10勝以上とすると99.0になりますので、エースQBには「最低94.3くらいは欲しいなー」てなことになるのでしょうか?

で、これだとふーん・・・で終わるので、各チーム別の5年間の主戦QBの推移と勝ち数についてダラダラと書いていきます。

バッファロー・ビルズ

主戦QBは2019年からずっとずっとジョシュ・アレン。
平均レイティングは94.7でこれは32選手中12位の数字です。意外と高くないですね。
5年間の勝ち数は58勝で32チーム中2位です。
2020年に107.2を記録していますが、2019年が85.3にとどまっています。
アレンの武器であるランでの突進力みたいなのはQBレイティングには現れませんのでまあこんなとこなんでしょうね。

マイアミ・ドルフィンズ

2019年はライアン・フィッツパトリック、2020年以後はタゴヴァイロアが主戦QBです。
平均レイティングは93.9(14位)で勝ち数は44勝(15位)。
5年で見るとちょうど真ん中くらいなのですが、ここ2年のレイティングは105.5、101.1と非常に高く、勢いが感じられます。

ニューイングランド・ペイトリオッツ

2019年はトム・ブレイディ、2020年がキャム・ニュートン、2021年以降はマック・ジョーンズが主戦QBです。
平均レイティングは85.0で26位。勝ち数は41勝で17位です。
ブレイディは伝説の男ですが、QBレイティングが高いタイプって印象じゃないですよね。それもあってか平均レイティングは低めです。
来シーズンはたぶんルーキーQBが主戦になります。どうなるのでしょうね。

ニューヨーク・ジェッツ

最初2年はサム・ダーノルド、2021年からの3年はザック・ウィルソンが主戦です。
平均レイティングは75.3で予想通り堂々の最下位です。勝ち数は27勝で31位。
こちらも来年は主戦QBが交代。ニューイングランドとは対照的にアーロン・ロジャーズが主戦になることでしょう。これは楽しみ。

ボルティモア・レイヴェンズ

今シーズンMVPのラマー・ジャクソンがずっと主戦を務めます。
平均レイティングは98.7で7位、勝ち数は56勝で3位タイです。
98.7で7位なんですね。厳しいなあ。
ラマーはこの5年のうち2019年と2023年にレイティング100以上(113.3と102.7)を記録しているのですが、これらのシーズンにそれぞれ14勝、13勝を挙げています。このチームに限ってはQBレイティングと勝利数の強い相関がありそう(調べてはいないです)。

シンシナティ・ベンガルズ

2019年はアンディ・ダルトンが主戦、2020年からはエリートQBのジョー・バロウが主戦を務めています。
平均レイティングは93.6で15位、勝利数は37で20位です。
意外だなーと思って見てみると、バロウがいなかった2019年はQBレイティング78.3で2勝しかしてないんですね。
バロウのレイティングが100を超えた2021年(108.3)2022年(100.8)はそれぞれ10勝、12勝なので、やはりバロウの出来で勝利数が変わってくるということなのでしょう。

クリーブランド・ブラウンズ

2019年から2021年までは全体1位なのにド根性QBでおなじみのベイカー・メイフィールドが主戦、2022年はスーパーがんばりQBでおなじみのジャコビー・ブリセット、2023年は低好感度QBでおなじみのデショーン・ワトソンです。
平均レイティングは86.2(25位)、勝利数は43勝(16位)
レイティングの割に勝ってますが、これは集計方法の穴かも。主戦が出てないときに勝ってる印象があります。

ピッツバーグ・スティーラーズ

主戦QBは2019年がメイソン・ルドルフ、次の2年はベン・ロスリスバーガー、直近2年はケニー・ピケット。
平均レイティングは84.2で29位、勝利数は48で8位。
ボルティモアやシンシナティと違って、QBレイティングが勝利数とあまり相関していないのかも。
この勝利数の裏にはトムリンHCのパワーもあるでしょうし、ごつごつとぶつかっていく社風(?)もあるんじゃないかと思ってます。

ヒューストン・テキサンズ

デショーン・ワトソンが2年間主戦を務めた後、2年間デイヴィス・ミルズが主戦。2023年はC.J.ストラウドが主戦QBでした。
平均レイティングは95.8で11位、でも勝利数は31勝で27位。
主戦のQBレイティングが112.4もあったのに4勝しかできなかった2020年が勝利数で足を引っ張りました。
でもこのチームは当面QBであれこれ悩む必要なさそうですよね。来シーズンもストラウドは大活躍するでしょうし、チームもたくさん勝つと思います。

インディアナポリス・コルツ

いつもQBのことでもめてるコルツの主戦は2019年から順にジャコビー・ブリセット、フィリップ・リヴァーズ、カーソン・ウェンツ、マット・ライアン、そしてガードナー・ミンシュー。当然のように毎年変わってました。
平均レイティングは89.6で19位、勝利数は40で18位。
来シーズンの主戦QBはアンソニー・リチャードソンになると思いますが、長い目で見てあげてほしいですね。

ジャクソンビル・ジャグワーズ

ガードナー・ミンシューが2年務めたのち、トレバー・ローレンスが主戦に定着。
平均レイティングは88.5で22位、勝ち数は28勝で30位。
2021年までは暗黒時代だったのでこんな数字ですが、これから良くなっていくのは間違いないと思います。

テネシー・タイタンズ

ライアン・タネヒルが4年主戦を務め、2023年からルーキーのウィル・リーヴィスにバトンタッチ。
平均レイティングは98.5でなんと8位!勝ち数は45で13位。
2019~2021年は主戦のタネヒルも絶好調で強かったですもんね。
2024シーズンはリーヴィスにとって勝負の年になると思います。今シーズン84.2だったレイティングも最低92は欲しいですよね。

デンバー・ブロンコズ

ジョー・フラッコ、ドリュー・ロック、テディ・ブリッジウォーターと主戦が毎年変わっていたデンバーですが、2022年にラッセル・ウィルソンを獲得し、主戦に定着させました。
平均レイティングは87.6で24位、勝ち数は32で22位タイ。
ウィルソンの2023年シーズンのレイティングは98.0と復調の兆し。ハイレベルと言われるAFC西地区で勝ち数を伸ばすことができるでしょうか。

カンザスシティ・チーフス

主戦QBは言わずと知れたパトリック・マホームズ。
この5年でスーパーボウル3回制覇と黄金時代もいいところですね。
平均レイティングは102.0で4位。勝ち数は63勝で文句なく1位。毎年二ケタ勝利を挙げているのはKCとバッファローだけです。
マホームズのレイティングは2023シーズンだけ92.6と低め。レシーバーのみなさんの問題だったかもしれませんね。

ラスベガス・レイダーズ

デレック・カーが4年間主戦を務めたのち、エイダン・オコンネルが主戦に抜擢されました。
平均レイティングは93.3で16位、勝ち数は39で19位。
2024年シーズンはどうするんでしょ?2023年に獲得したガロポロはつなぎ役だと思いますので、若いQBの獲得を目論んでるんでしょうかね?

ロスアンジェルス・チャージャーズ

2019年はフィリップ・リヴァーズ、2020年からジャスティン・ハーバートが主戦。
平均レイティングは94.2で13位、勝利数は36で21位。
デビューイヤーにレイティング98.3を記録し、その後もコンスタントに90以上をマークしているハーバートですが、そろそろ結果を出したいです。ここ2年くらいが勝負かも。

ダラス・カウボーイズ

2020年を除き、ダック・プレスコットが主戦。2020年はアンディ・ダルトンが主戦でした。
平均レイティングは97.6で10位、勝ち数は50勝で6位です。
来期も主戦を務めるプレスコットだけの平均レイティングを計算すると100.2と、堂々の100越え。
スーパーボウル制覇のために必要な条件はすべてそろってるはずですので、来シーズンこそはと言ったところでしょうか。

ニューヨーク・ジャイアンツ

いろいろ言われながらもダニエル・ジョーンズが5年間主戦QBの座を守っています。
平均レイティングは83.2で30位、勝利数29は28位タイ。
こう見るといろいろ言われて仕方のない結果かもですね。来年もジョーンズでいくんでしょうか・・・・

フィラデルフィア・イーグルズ

2019.2020年の主戦はカーソン・ウェンツ、2021年以降はジェイレン・ハーツ。
平均レイティングは88.7で21位、勝利数47は11位。
平均レイティングでは2020年のウェンツが72.8でしたので、これが足を引っ張りました。
ハーツがレイティング101.5を記録した2022年はスーパーボウル出場まで行ってます。
来シーズンもハーツ主戦は変わりませんので、きっと強いでしょう。

ワシントン・コマンダーズ

ケイス・キーナム、アレックス・スミスのあと、テイラー・ハイニキが2年間主戦を務め、2023年はサム・ハウエルが主戦。
平均レイティングは84.8で27位。勝利数は29で28位タイ。
2023年「ほんとに彼でいくのか?」と騒がれたハウエルのレイティングは78.9。コーチ陣も一新されましたので2024シーズンは別のQBが主戦を務めることになるのかもしれません。

シカゴ・ベアーズ

ミッチェル・トゥルビスキーが2年間主戦を務めた後、ジャスティン・フィールズにスイッチ。
平均レイティングは84.2で28位。勝ち数は32で22位。
フィールズの3年間の平均レイティングは81.5で16勝。満足いく数字とはとても言えません。どうもほかのチームに行くみたいですね。来シーズンは新人がエースQBでしょうか。

デトロイト・ライオンズ

マシュー・スタフォードが2019年から2年間主戦。その後ジャレッド・ゴフとトレード。
平均レイティングは98.2で9位。勝利数は29で28位。
QBは良いけど勝てないってチームの典型ですね。
ただご存じのように、5年通算勝利数29のうち21勝はここ2年で挙げたもの。ここ2年のゴフの平均レイティングは98.6と「QBが良くて勝てるチーム」に変貌しています。
おそらく来シーズンも強いでしょう。

グリーンベイ・パッカーズ

主戦QBは2019年から2022年がアーロン・ロジャーズ、2023年はジョーダン・ラブ。
平均レイティングは103.2で2位。勝利数は56で3位。
ロジャーズは2020年に121.5という異次元の平均レイティングを記録しており、これが効きました。
が、ジョーダン・ラブも負けておらず、2023年は96.1の高レイティングを記録。来年も楽しみです。

ミネソタ・バイキングス

カーク・カズンズが5年間主戦を務めています。
平均レイティングはマホームズを超える驚異の102.4(3位)、勝利数は45で13位。
毎年ファンから「カズンズでいいのか?」的なことを言われてますが、きっちり結果を残しています。
今年で契約切れちゃいましたが、呼び戻す動きもあるとのこと。カズンズがミネソタに帰るにせよ、新天地に行くにせよ楽しみですね。

アトランタ・ファルコンズ

フランチャイズ史に残る名QBであるマット・ライアンが2019.2020.2021年と主戦QBを務めたのち、2022年はジャーニーマンのマーカス・マリオタ、2023年は若手のデズモンド・リダーが主戦を担いました。
平均レイティングは89.5で20位、勝利数は32で22位です。
リダーの2023シーズンの平均レイティングは83.4。チームは新たなQBを探しているようですね。

カロライナ・パンサーズ

ここ5年の年ごとの主戦は順にカイル・アレン、テディ・ブリッジウォーター、サム・ダーノルド、ベイカー・メイフィールド、そして全体1位ルーキーのブライス・ヤング。
平均レイティングは78.4で31位。勝ち数は24で最下位。
特にここ3年の主戦QBの平均レイティングはすさまじく、ダーノルドが71.9、メイフィールドが74.4、ヤングが73.7。
メイフィールドのほかのチーム(クリーブランドとタンパベイ)での平均が88.1ですので、QB本人以外のところに原因があるんじゃねーかと思ってしまいますね。
どうでもいいことですが、ダーノルドは2019年から2022年にジェッツとパンサーズという最下位2チームで主戦を務めながら、2023年は控えとしてスーパーボウルのベンチに座っています。運命というのはわからないもんですね。

ニューオーリンズ・セインツ

2019年、2020年の主戦はドリュー・ブリーズ、2021年からはジェイミス・ウィンストン、アンディ・ダルトン、デレック・カー。
これはなんというか平均レイティングが高そうですね!!!
注目の平均レイティングは・・・103.7!1位です!おめでとう。
勝利数は50で6位。
最初の2年のブリーズのレイティングが116.3、106.4というのはまあ彼ならそんなもんかという感じですが、2021年のウィンストンの平均レイティング102.8という軽いミラクルが起きたことが今回の勝因でしょう。
そういう趣旨の集計ではないんですが、あらためておめでとうございます。

タンパベイ・バッカニアーズ

主戦は2019年が軽いミラクルカニ男のジェイミス・ウィンストン、2020年から2022年は伝説の男トム・ブレイディ、2023年は不屈のプリンスベイカー・メイフィールド。
平均レイティングは87.8で23位、勝利数は48で8位タイ。
ブレイディとベイカーは決してレイティングが高いタイプではないのでウィンストンのミラクルに期待がかかりましたが、2019年の彼のレイティングは84.3。あえなく5年平均90未満に沈みました。
ベイカー・メイフィールドはこれを書いている現在、フリーエージェントですが、おそらくタンパベイに戻るでしょう。来年も地区優勝争いを演じるはず。

アリゾナ・カーディナルズ

カイラー・マレーが5年間主戦を務めます。
平均レイティングは91.8で18位、勝利数32は22位タイです。
2021年シーズンはレイティング100.6で11勝したのですが、その後はレイティング90に届かず、勝利数も2年で8勝。
来シーズンもマレーが主戦だと思いますが、勝負の年ですね。

ロスアンジェルス・ラムズ

2019年から2020年はジャレッド・ゴフ、2021年から2023年はマシュー・スタフォードが主戦QB。
平均レイティングは91.9で17位、勝利数は46勝で12位です。
平均レイティング90以上をマークした2020年(90.0)、2021年(102.9)、2023年(91.9)に10勝以上、そうでなかった2年は一桁勝利とQBレイティングと勝利数の相関が強いチームです。
2024シーズンもスタフォードが主戦だと思うのですが、その次のことも考えなきゃですね。

サンフランシスコ・フォーティーナイナーズ

ジミー・ガロポロが2019年と2021年、2022年、ニック・マレンズが2020年、そしてブロック・パーディーが2023年に主戦QBを務めました。
平均レイティングは100.2で6位。勝利数は54勝で5位です。
現主戦QBパーディーの2023年の平均レイティングは113.0で、これはもちろんこの年ナンバーワンの数字。
今シーズンスーパーボウルまで行ってどれくらいの選手が残れるか未知数のナイナーズにあって、格安契約のパーディーは来年もいてくれるはず。活躍を期待しましょう。

シアトル・シーホークス

2019年から2021年の主戦はラッセル・ウィルソン、2022年、2023年はジーノ・スミスが主戦。
平均レイティングは101.5で5位、勝利数は48で8位。
ちなみにジーノ・スミスがジェッツでエースだった2013年、2014年の平均レイティングは72.0。長く雌伏の時を経てエースに返り咲いた2022年は100.9を記録。
こんなことってあるんですね。

例外はあるものの勝てるQBのレイティングは高い!

当たり前っちゃ当たり前なんですが高いレイティングを残しているQBはきちんとチームを勝利に導いている印象ですね。
全体的に高くなくても勝てるけど低いと勝てない、みたいな感じでしょうか。
今後ちょっとこのレイティングってやつにも注目しながら見ていきたいなって思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?