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職場でコーヒーを淹れるようになって、くるりの歌詞の意味がわかった話

こんばんは。自称Vtuberのブルーウェットふみ乃(@BLVEWHET)です。また雑記っぽいもの(雑記そのものでは)を書きました。

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職場でコーヒーを淹れるようになった。いまの職場に来て4年目になるが、ずっとやりたいなと思っていたけどできていなかったことだ。理由はだいたい100個ぐらいあって……というのは嘘だけど、いろいろある。家でドリッパーがひとつ余っていたからとか、共用のインスタントコーヒーマシンが利用率低下により撤去されたからとか、少し長めに離席しても特に何も言われないくらいのポジションにはなってきたとか、そういうのだ。

紙コップは細口ポット代わり(意外とお湯を細く出すことができるのです)

淹れるといってもミルで豆を挽くことまではさすがにやりにくくて、挽いた粉を共用の冷凍庫に入れておいて、飲みたいときにドリップするくらいなんだけど、いちおう好きな粉で、淹れ立てを飲むことができる。わたしは家でもあんまり挽くことはしないズボラコーヒー民なので、おおむね家での運用と同じだ。

やってみるとこれが存外良い。クオリティ・オブ・職場環境が驚くほど上がって、なんていうか、驚いた(語彙)。自分で淹れたコーヒーをずずずーっとデスクで啜ると、一瞬自宅にいる感覚になって、緊張していたり、どよんとしていたりする気分をニュートラルにしてくれる。

ドリッパーが入る広口の保温ボトルを購入したのも正解だった。マグカップに直接入れても良かったのだけど、すぐ冷めてしまう。「冷めないこと」が、自宅感の演出には大事なんだなという、これは発見だった。

自分の好きなもので職場を彩る、とか、なにも興味が沸かなかったほうだったけど(むしろ仕事のオンオフが侵食し合う感じがして嫌いだったんだけど)こういうことだったんだな。学生じゃなくなって10年目になって、ようやっとわかった気になった。

たぶんわたしは自分の作る食事が好きだから、コーヒーがここまで効果があったんだと思う。例えば推しのアクキーをこっそり置くとか、ロッカールームで好きな音楽をワンコーラスだけ聴くとか、人によって効果的なことは違うと思う。わたしも年単位で時間がかかったけど、やっと自分の機嫌をとる方法を、ひとつ見つけることができた。

くるりの「ハイウェイ」の冒頭で歌われる「僕が旅に出る理由はだいたい百個ぐらいあって」という一節。当然だけど、「理由」は百個もあるわけではない。あそこで歌われているのは、比較的長い時間の積み重ねのなかで、いくつかの事象が重なり合った瞬間、本人もよくわからないけれど、その気になったという、そういう瞬間の出来事なんだろう。

そう、たぶん、そういう瞬間が訪れるのには、ある程度の時間がかかる。どうしても体が動かなかったり、ぐだぐだTwitterを見たり、じっと部屋の隅で体育座りをしたら日が暮れていたり、他人から見ると停滞してるだけなように見えたとしても、それは必要な時間なのだ。職場にコーヒーを淹れられるようになるだけで、わたしは10年かかった。

でもそれでいい、というか、そうとしかできないから、いちいち感動でもしながら、騙し騙しやっていくのがいいんだろうな。飛び出せるハイウェイなんてなくても、とりあえず職場でコーヒーを淹れられて、良い気分になれて、そういう自分を肯定的に見られるようになったことを、祝いたいと思うのだ。


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