レールの上

気がつけば子どもの頃から
予め敷かれたレールの上
何度も外れようとした
失敗するたびに
ほら言わんこっちゃないって言われた

「お前は自分のことばかりだ」
「つらいのはお前だけじゃない」
「お前は何を甘えているんだ」
いつだってそんな言葉に邪魔をされ
ことあるごとに
そばにいる自分より立場の弱い誰かを
犠牲に差し出し盾にする

そんな息苦しさは
子どもだった自分には言えなかった
抱えていても言えなかった
言いたくても言えなかった
吐き出せば容赦なく殴られたから
だからずっと我慢していた
遠くをずっと見ていた
あの子が羨ましいと思いながら
人の目ばかりが気になった

あの頃を思い出すのは
今でも苦行だ
やりたくないことをやらされて
やりたいことはことごとく否定された
今になってひどく後悔が襲う
「上の言うことを聞いていればいい」
「お前をまともにしたい」
と言わんばかりに
だから人の目は見るもんじゃなかった
人の声は聞くもんじゃなかったって

今さらそんなことを言ったって
誰も分かってくれないや
今の時代にこんなことを言ったら
四方八方から袋叩きに遭うからな

言葉をひとつ綴りながら
なんだか涙が出てくる
今 涙が出てくるってことは
それだけ自分が悔しかったんだなって

だけどそうやって
人と比べてしまって
人の目を気にして
人の言葉を鵜呑みにして
自分を取り巻くすべてに左右されすぎて
自分の未来を塞いだのは
他でもない自分だった

予め敷かれたレールの上を歩いていれば
それこそつまらない人生だったのに

自分に何かあるたびに
自分のすべてをことごとく否定されて
自分は自らを否定した
そしていつからか
ネガティヴが自分を包んでいった
「どうせ何をやってもダメだから」と

だからもう誰かの目なんか見ないで
自分なんかと言わないで
心なく響く声にそれこそ耳を塞いで
ずっと閉じ込めてきた
自分がやりたかったことを
過去も障害も飛び越えて
後悔もトラウマも抱えながら
突っ走って良かったんだ

って
そんなこといちいち
人に聞かなくてもいいよ

こんなレールの上にいても
つまらないって分かっただろう
だからこのレールの上から外れて
もうどこかに
自分の好きなところに逃げていいんだ

だからもう
これ以上
自分を悲しくさせるな
自分を悲しくさせるのは
自分に申し訳ないだろう

そんなレールの上なら
外れてしまえ

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