背中を撃たれる

背中を撃たれた
まただ
どうしてこんなことばかり
繰り返されるのか

あいつは嘲笑っている
またか
弾痕が増えていく
深いため息が出る

撃ってくるのは
安全圏からが殆どだ
ずるすぎる
ずるすぎて声も出ない

そして言葉は奪われて
反論する口を塞がれて
怒る暇(いとま)もないままに
時間が過ぎていく

生きてきた何もかもを
費やしてきた何もかもを
嘘で言い繕われて
息もできなくなって
何だったんだろうかと
自分に訊いてみるけれど
何も分からなくて
ただ天井を見上げる

あれはジョークだったと
何をムキになっているんだと
みみっちいバカだと
言われるすべてが
やがて生きることを奪い
無意味なモノにされていく
心はそうやって殺される
血も傷痕も見られることなく

撃たれたまま
起き上がらずに
このまま眠るように
居なくなりたいが
せめてもの抵抗は
見せなきゃいけないと
続く痛みに耐えながら
かき集めた言葉を綴る

「苦しい」
この気持ちなんて
誰も分からないって
卑下したくもなるが
撃たれた弾痕を
静かに見せたところで
こう言われるのだ
「私は悪くない」と

そしてまた重く一発
背中を撃たれる
繰り返されていく
悪夢のように

嘲笑うんだろう
またムキになってって
立ち上がれなくなるまで
背中を撃つんだろう

だけどな
生きるんだよ
無意味なものになど
したくないから

ずるい人間になど
なりたくないんだ
屍になるのは
まだ早いんだ


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