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めがねをしていない方が盲目

長らくハマっている漫画がある。
そのタイトルは「好きな子がめがねを忘れた」という、藤近小梅氏が原作を手掛けるラブコメ。元々はTwitter(今はX等と言う勿れ、私がやっていたポケモンはYだしXという文字に思い入れは無い)で軽くまとめていた程度のものだったはずが、不器用な二人と温かい周囲が織り成す平和で美しい世界に魅力される人が続出し、気付けば単行本どころかアニメ化まで行き着いた傑作の中の傑作。

主人公は小村君という不器用で優しい中学生男子、ヒロインは三重さんという無垢で天然な中学生女子。三重さんはめがねが必須なレベルに視力が悪いが、ある日めがねを忘れてしまい、小村君が助けようとするところから淡くも確かな恋が始まる。
二人のやり取りだけでも非常に尊いものがあるが、クラスメイトの皆も時にサポートを入れつつ微笑ましく見守る(二人はそれどころで無いが公認みたいになっている)、そのようなどこまでも癒される世界に私も心惹かれ、ついには単行本を買い揃えるまで至った。これがなかなか大変で人気故に一筋縄でいかず、この前丸善に行った時にようやく最新巻を手に入れられたぐらいだ。

最新巻を昨日今日で一気読みした。この作品は私が彼女と付き合い始める前からよく知っていたのだが、付き合ってから初めて読んだのはこの最新巻のみである。
今になって読んで思うのは、いかに三重さんに対する小村君が彼女に対する私と近しいか、ということ。とにかく心の声が騒がしく、相手の一挙手一投足が気になって仕方が無いという感じが、あまりにも身に覚えがありすぎる。特に余計な事を考え過ぎてひとりでに彼女の父を脳内で召喚して謝る、というのは前までは普通に笑って読んでいたのが、今やあーわかる…わかってしまう、と別の意味で笑えてくる。かたや初めて恋愛の酸い甘いを知り始める年頃の中学生、かたや本来はもっとあれこれ経験して然るべきところを初恋が忘れられずにここまで来た社会人だけれども。

ちなみに、アニメの方は彼女も少し目にした事があるそうだが…その感想が「何かメチャクチャ身近に感じてつい応援したくなる」だった。まあそうなるだろう、彼女は小村君のような不器用さを現在進行形で感じているはずだから。

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