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ニッカン インペリアルとは

前置き

多少曖昧な部分がありますので、もし間違っている部分がありましたら優しくご指摘くださいませ。加筆訂正しますので・・・

2024/02/12追記
クロサワ楽器様の商品説明のところで関連性について説明いただいておりましたのでそれに合わせて加筆訂正しました。

ヤマハの管楽器はすべて日本国内製造

実は今では世界的ブランドになったヤマハの管楽器。
ピアノ、シンセやギターのみならず、金管、木管問わず世界で管楽器のメジャーメーカーの1つとしても君臨するヤマハ。
実は、ヤマハは色んな国で楽器を生産していますが(フォーク系は中国、エレキ系は昔は台灣、今はインドネシア等など・・・)、管楽器だけは日本国内(今は豊岡工場に一本化)で生産しているそうです。まさにMade in Japan。日本の職人の技は、意外なところで健在でした。
映像は金管のみですが・・・(苦笑)

ヤマハの管楽器の歴史は「ニッカン」なしでは語れない

そんなヤマハの管楽器は、1から自社で・・というわけでは有りませんでした。「ニッカン」という会社と歩んだ歴史があります。
管楽器の世界で、「ニッカン」というと、「日刊」でもなく、「日韓
」でもなく、「日本管楽器株式会社」というものに行き着きます。

1892年当時陸軍工廠に勤務していた銅細工師の江川 仙太郎氏 が独立して管楽器などの修理を始めたのがニッカンの始まりだそうです。
1902年に「江川管楽器製作所」として創業してコルネットやトランペットなどの管楽器の製造に乗り出し、1918年に「合資会社 日本管楽器製作所」となります。
主に軍用ラッパなどを製造しながら、その後1937年に「日本管楽器株式会社」に改組しますが、当時の最大の取引先であった「日本管楽器製造株式会社」(現 ヤマハ)より援助をうけ、実質的な子会社となりました。

そして、1970年に、ヤマハにより吸収合併されますが、今回私が手に入れたインペリアルは、ちょうどその直前ぐらいに作られたものです。だいたい1967年~70年ぐらい、とのことでした。
ですが、どうもYAS-1の事を言っていたようで、インペリアルは更にそれの先代ということのようです。インペリアルをベースにYAS-1が作られたのだとか。そりゃヤマハの管楽器担当も知らんわなぁ。と。
ですから大体1960年代~1967年前後になるわけですね。
つまり私が生まれるより前にすでにこの世で鳴っていたわけです。
私よりも先輩の楽器だったりするわけで、入手してまじまじと見るにつけ、なんか手を合わせたくなってしまうのは私だけでしょうか・・・

今のヤマハの管楽器工場(豊岡工場、ヤマハの管楽器はここで生産されているそうです)には、そのニッカンのノウハウを受け継ぎ、更に磨きをかけた職人のみなさんが今日も管楽器を作っておられます。

ニッカンの管楽器は今もそれなりの数がネットオークションやネットフリマにでていますが、このニッカン・インペリアルは(間にYAS-1を挟んで)この後の高級機となるYAS-60シリーズ(YAS-61/62)の先祖にあたるもので(YAS-62はマイナーチェンジを続けながら今も現行です)、ネットでは色々言われては居ますが、当時の職人の手間と魂が込められた最高級機であり(なにしろ名前が「インペリアル(荘厳な、至上の、最上の)」ですからね)、ヴィンテージながら(整備してあれば)今でも充分に使えるはずのモデルです(もちろんタンポ交換を始めとしたオーバーホールは必要かもしれませんし、マウスピースとかは今どきのものに変える方がいいですけど)。
ヤマハはどっちかというとオールマイティな楽器作りをしてくることが多いのですが、このインペリアルは吹奏楽系というよりはポップスやジャズ向きの音、と評価する方が多いみたいです(私としては嬉しい)。

あと、インペリアルは2種類あって、「インペリアル(製品名)」と、「インペリアル(モデル名)」があるようです。下位モデルの高級バージョンは「インペリアル(モデル名)」が型番の後に付いていました。車とかで言う「〇〇エディション」みたいなもんでしょうか。
結構これが混同されているケースが多く、ただでさえ記録の少ないニッカンの話が余計にややこしくなっていたりします😅
もちろん「インペリアル(製品名)」のほうが上位ではあるんですけどね。

余談ですが・・

私の今回入手したインペリアルは私に言わせれば「超あたり機」(インペリアルは最近はそう簡単にはでてこない上に、ここまで美品はそう簡単にはお目にかかれないほどのストロングバイな一品)。だいたいこの手の中古機(特にネットオークションやネットフリマにでているもの)はどっか凹みがあったり錆がひどかったりするんです。本当にもったいないと言いますか。。。

それと、なんでも「市場価値」だけで見る輩のなんと多いことでしょうか・・・(悲)
今まで何度かお話してますが、こういう楽器っていうのは、市場価値だけで話をしては行けないケースが多々存在します。
エレキギターでも、市場価値だけ考えたらヤマハのPacificaやEpiphoneより、フェンダーやギブソンのほうがいいに決まっていますが、じゃあ音は?って言うと、意外にPacificaやEpiphone評価して使ってるプロのミュージシャンって結構居たりするんですよね。そこが楽器の面白い一面でも合ったりします。
管楽器はどっちかというと新品の場合はだいたい連動している(ただし人によりますが30万以上は変わらないって人もいます、ここは人の耳次第といったところですね)方ですが、くどいようですが新品の場合のみであって、中古になると話は全く別です
管楽器はここが少々ややこしく、メーカーやモデルによってその評価は大きく違うのです。人によっても違ったりします。
(多分出会った楽器などの経験によるものなのでしょうから、それなりに個体差が出る管楽器、しかたないところではありますが、だからといって決めつけすぎるってのはどうなのかなって気もします、少し難しいところです)

近代化改修、その他・・・

実はこのインペリアル、個体によっては改造されて現行高級機のオプションであるV1ネックがつかえるようにしてあるものもあるそうです。
(私もそれやりたいなぁ)

ニッカン製のサックスで古いものはベルキィガードと呼ばれる音の出口(ベル)に近いタンポをガードするところがワイヤーでつくられている(いわゆるワイヤーキィガード、ただこれの元祖?はサックスの元祖とも言われるアドルフ・サックスらしい、もちろん形状は全然違っていたりする)のですが、このインペリアルは ”Jガード" と呼ばれる独特の形状のガードになっています(YAS-280にその形状は受け継がれています)。

実は私が欲しかったのは、そのベルキィガードに調整機構(スクリューキャップストッパー)がついているものでした。ここのタンポの開き具合を調整する事ができるのは中高級機の証でもあります(現行のYAS-280/380にはない)。

もうこれの製造に直接関わった方や、これを使っていた方はこの世にはお見えにならないかもしれません。
だからこそ、このきれいに保存された、思いの詰まったインペリアル、関わった彼らに感謝しながら、その想いを受け継いで、大事に使いたいと思います。
ありがとう。


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