中古楽器の買い方
はじめに
先ず、最初に書いておきます。
「中古楽器はどこかに必ず不具合があると思え」
これはギターだけでなく、同じ弦楽器のベースやウクレレも、そしてシンセなんかもそうですね。
今までわたしが購入した楽器で、不具合がなかったのは、すでに売却済みのAriaProIIのエレキ1本/Ibanezのエレキ1本、ある楽器屋からおすすめで買った新品のウクレレ、そして今私が基準機として使っているヤマハのパシフィカだけ。それ以外は必ず何らかの不具合や「爆弾」をもって我が家に来ています。
最初に買った中古のDX7なんて、電源入れたら機器の根本でスパークして電源線燃えましたからね(苦笑
本当はリアル店舗がおすすめ
ですから、まず中古楽器を購入する場合は、本当にしっかりサポートしてくれる楽器店から購入するのがベストです。
多少高くても、そのほうが整備なども安心です。
買うときには勿論サポートなども確認しておくと良いでしょう。
通販やネットオークションやネットフリマが安いとはいえ、やっぱりこういう楽器はいい音が命。
また本当にネットオークションやネットフリマが「最適解」なのかを確認する上でも、中古の店数店舗(できれば少なくとも1店はリペアもしてもらえるところ)を”巡回先”として抑えておく必要があります。
意外かもしれませんが、最近はネットオークションのほうが値段が高い(地元の中古店のほうが何故か安い)ことも多かったりします。信頼を置けて安かったらそれに越したことはありませんから。
安く良い品を買おうと思ったら、頭を使うか足を使え
とにかくほしい楽器は、前述の通り店巡りをしたり、ネットとかを利用して情報収集し、徹底した「下調べ」をすることをおすすめします。
その上で、「納得できる品質の最大公約数」的な金額を調べるわけです。
一番安いものより少し高めのものがその確率は高いと考えるべきでしょう。
ただし出品者によっては高いほうが品質悪い場合も有るので、値段だけで判断は危険ですね。写真や説明などもしっかり確認しましょう。
ネットオークションやネットフリマが「安物買いの銭失い」ということも
また購入しても、想定外の部分でよくみたらそこかしこが不具合だしてた、なんてのもあったりします。
実際先日1万で落札したタカミネのエレアコ(実は後で調べたらEF360をベースにした?カタログ未掲載モデル、海外ものの上に展示会デモの可能性ありの1本ものでとんでもなく凄いものでしたが)なんかも、ほとんど不具合の塊で数週間と1万円近くかけてリフレッシュ作業をしたおぼえがあります。
幸い私はそういう修理をアイディアと道具でやってしまうので良いのですが(実はこの手の修理動画をyoutubeネタにもしていることがあります)、普通の方だとそこまでやらないでしょうし、できないと思います。
こと指板周りのリペアは専門業者に頼むと数万は確定です。
だからといって、出品者に質問攻めしても、出品者も何も知らない人間も多く、それでブロックされて入札お断り、なんて話にもなりかねません(なので私はお店をおすすめしてるってのもあるんですが)。
送料が罠になってることも有る
また、ネットオークションやネットフリマだと、購入時は安くても、よくよく見たら異様な送料とってるとかも良くあります。結局送料考えるとそっちのほうが高くついてしまった・・・なんてことも良くあります。
だからといって安くさせて無茶な発送をさせると、運送途中で破損してしまうことも良くあります。
楽器系の破損は運送会社各社かなり嫌がります。修理できないケースがあったり、修理しても音が変わってしまってクレーム・・なんてのもありますから。そうなるとみんないい気分じゃないわけです。
また、ネットオークションやフリマの手数料は、落札金額からピンハネするので、送料は除外されてることがあります。それを悪用して送料を異様に高く設定していることもあります。
どうしてもネットで安く・・という場合
近くに店がないとか、どうしてもネットで買わざるを得ない場合もあるかと思います。その場合は不具合のリスクは必ず覚悟しておきましょう。
次に、「整備済」とか無い限り、基本怪しいと考えるほうが無難です。
逆にすぐ使えるよ、という場合は、その旨明記されてる方が多いです。
私も出品する場合は、できる限り整備済みかそうでないかを明確にわかるようにしています。
また、自分で整備できない場合は、少し遠くても整備してもらえるリペア業者や楽器店を探すことは重要です。そこに予め相談しておくことをおすすめします。そういう持ち込み系を嫌がるリペア業者も居ますし、値段に見合わなくなってしまうこともありますから。
ネットで落札するなら発売日が近めの中古が楽
ネットオークションやネットフリマで購入する場合、できる限り整備の手間を減らしたいのが本音かと思います。
とすれば、一番らくなのは現行か、1,2つ前のモデルの楽器。
シンセだと10年過ぎてるとサポート対象外にされてしまいますので、発売日が近めのものであればサポートして貰える場合もあります。
よほど酷使されてない限り問題が少ないことも多いので、それをチェックしつつ購入するのが良いと思います。
ギターで一番高く付くのはネック・指板、ブリッジ周り
これも案外皆さんご存知ないんですが、一番ギターで高く付くのがネック周りやブリッジ周りです。ペグ交換なら、道具さえ揃えば素人でもそんなに難しくは無いですが、指板剥がれ、フレット摩耗による交換、ネックの反りなどの修正なんかが絡んでくると、リペア業者に頼むと前述の通り数万は確実にかかります。高いギターならともかく、安いギターだとそんな気分にはなかなかなれませんよね・・
また、不具合のあるアコースティックギターで、ブリッジの部分が割れちゃってるのもあります。こうなると業者によっては修理を嫌がるところもあります。音が変わってしまう恐れがあるためです。
なので「直せばいいや」と気楽に考えず、じっくり腰を据えて検討して買いましょう。購入後の出費をできる限り抑えることも、賢く中古を買うコツです。
シンセは鍵盤回り、電源、破損に注意
その点わかりやすいのがシンセなんですが、基本的に古いシンセは製造から10年を超えると先ず修理部品がありません。当然中古部品を探すか、ニコイチ、サンコイチする必要があったりする場合もあります。
また、大体電源周りの電解コンデンサがヘタりかけてるケースが多く、生きていたとしても予防修理が必要です。
壊れてからだと他の部品巻き込んで壊れているケースもあるので、余計に出費してしまうことになったりそもそも修理できない、なんてことも。
また、1990年代後半〜2000年代以降発売のシンセは、面実装コンデンサを使っていることが多く、これがまた非常に厄介。シンセ修理ができる業者でも結構嫌がられます。
私自身も修理を請け負う事がありますが、この手のは断ることもしばしば。
面実装コンデンサは、比較的少量生産なので、該当品がすでに廃盤になっていることも多いため、ある意味「消耗品」です。多少汚くなってもいいから普通の電解コンデンサに置き換えるのはありならいいのですが、なかなかそれを許さないお客さんも多いので。
また、鍵盤破損も大きな問題。
鍵盤はタッチが命なのですが、治すと一部タッチが変わるなんてのはよくあります。
私もそこは気を使いますが、そこは弾く人の感覚なので、100%完璧に、は無理です。
また鍵盤分解はコツが必要で、サービスマニュアルが必要な場合も多いので。
外装に関しても同様で、外装交換は事実上全分解になりますし、間違いなく高く付く、と思っていただいていいと思います。
なのでシンセは中古で動作保証、メーカーサポートがある方が安心です。
基本的に古いアンプは要整備
ギターアンプなど、「古き良きアンプ」や、古いシンセでも未だに人気のあるものは結構あります。
ですが、製造から10年を超えているアンプは古いシンセ同様原則予防整備が必要です。
こと電源周りの電解コンデンサが劣化しているケースが結構あり、ほおって置くと電源が壊れる恐れがあるからです。
予防整備として、電解コンデンサや(物によっては)ダイオード、タンタルコンデンサの交換などが必要になってきます。
また、海外モノのアンプだと、日本にない容量のコンデンサを使っているとか(それを取り寄せるととんでもない値段したりします)、結構怖い物があります。
予めそのあたりも含め、業者に確認しておくのがいいと思います。
ジャンクはわかる人向け
よくジャンクを買ってきて修理業者に丸投げするケースがあります。
私のところに来る方でも時々明らかにそうだよな、っていう方がいたりしますが、修理業者も人間です、あまりいい顔はしません。
その手の方は同じような修理の機材を何台も持ち込むのですが、そういうのに限って大体めちゃくちゃ手間のかかるパターンだったり、そもそもその故障の重大さをわかってないケースが多いのです。
例えば近々にあったケースだと、DX7でメインボード(DMシートといいます)を交換しないといけないケース(故障しているのが特殊なカスタムチップなのでボードそのものの交換でないと対応出来ません)だったのですが。。。
まぁ1回目はこちらの勉強もあるし請け負いました。
が、また2回目も同じような故障・・ということだったので、やんわり断りました。
ボードそのものを交換するということは、もう一台購入しないといけないことを意味します。すでに生産してませんし部品もありませんから。
どうも「こいつに任せれば故障品は全部安くなおる」と思われたようです。
1回目は運良く廃棄されてる部品をいただいたのでそれを利用したので安くできましたが、もう1台購入となると、正直買い直すほうが安いです。
1台購入+交換費用ですからね。
またロットによっては部品が微妙に違うこともありますので、それを考えるとリスクも高いです。
ジャンクを買う場合は、「なおせない、つまりお金が無駄になる」リスクも承知の上で購入するべきでしょう。
中古でもいいから、安く始めたい・・
でもそれにはそれなりのリスクがあることを、しっかり理解して購入しましょう。わかっているひとにとっては、それを差し引いても魅力的なのですから。
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