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「恵存」-古書のたのしみ。

本が好きで、様々手元に有りますが、アンティークジュエリーに関する本も集めています。
欲しいなと思う本は絶版になっている事も多く、古書にふれる機会が増えました。
地方在住の私は、古書店をめぐるより、ネットで購入する方が確実です。

そんな中の、「古書のたのしみ」。

大型の図録を購入した時、中に美術館のパンフレットがはさまっていたり、本の見返しに、著者によるサインが有ったり。
備忘録のような書き込みが有ったり。

前の持ち主の方の思いや暮らしが、ほんのり、断片的に残っている本。
ネットの情報だけでは知りえない事を、手元に届いた時に発見する小さな喜び。

学生の頃、目上の方から著書を頂いた時、見返しに「謹呈」の文字が印刷された栞がはさんで有りました。
多分何冊か有り、栞をはさんだ時点では行く先が決まっていなかったのかもしれませんが、その一冊は私の宝物で、書店に並ぶ同様の本とは別物として、大切に保管しています。

先日購入した古書の見返しには「恵存」と書かれた文字と、著者の印が有りました。

「謹呈」の特別感よりも、もう少し、心に近い感じのする言葉。
辞書をめくると、「お手元にお置き下されば幸いです」と有ります。

私にとって、アンティークジュエリーは、「恵存」という言葉ととても近いというか、上手くは言い表せませんが、そんな存在だなあ…と思いました。

美術館に有るような荘厳なものではないけれど、何度も見返して愛着を持ってそばに置きたい、自分自身にとっての宝物。

これからも、その様な、心に寄り添う「宝物」を、一つひとつ選んで、お届けしていきたいと思いました。

bluette antique

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