レプタイトルテ:シュガーレス #7個目

 この部屋では珍しいトラブル。自然であれば生死を別ける騒動。
 スーさん(コーンスネーク)、2日ほど前から白化しつつある様子。このペースであればこの数日で脱皮が始まるかもしれない、そう思っていた矢先だった。
 今日の陽が沈みきった頃、スーさんのケージからガラスのぶつかる音がする。ケージの扉に体が当たったり水入れと壁の間に入り込んだり、そういう音自体は珍しくない。しかし今回はカタカタとガラス音が続いている。不審に思いケージを覗き込むとスーさんの大変な姿が。

 観葉植物のレイアウトアイテムに「サボテンの骨」というものがある。これはある種のサボテンの芯で、乾燥させるとドット状に孔の空いた筒になる。これのレジン製のレプリカをケージに入れていたのだが、スーさんがレプリカに嵌まって身悶えしていた。

 脱いだ皮を引っ掛けようとしたのだろう。しかしレプリカが軽くて小さいため、くぐり抜けようとしてもスーさんの体重では引き摺ってしまう。とりあえずこれ以上レプリカを打ち付けないようスーさんをケージから取り上げる。水で濡らすかそれとも油か。焦る意識で救助方法を思案している最中、スーさんは少しずつレプリカから抜け出ていった。
 ショップの店員さんが言った『ヘビは頭が入る隙間があれば全身通り抜けられる』という言葉を思い出す。スーさんは私がレプリカを掴んでいるあいだに脱出を遂げた。結果ひと安心だが、鋭利でも大きくもないオブジェでこんな事件が起きるとは。まだ私はヘビ飼い初心者であることを思い知らされる。
 スーさんのケージを片付け、レプリカはリンさん(ヒョウモントカゲモドキ)のケージへ移動。ヒョウモントカゲモドキは脱皮のためにザラついたオブジェの設置が推奨されているし、リンさんの体格であれば挟まる心配もない。最初からこうすれば良かった。
 籠の中の安全は人間が全て。あらゆる目線を持たなければならない。
 
今日の英語:Life and death

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