泳ぐ存在の美しき

 水という無意識の象徴に泳ぎ、太陽の透明から無明の深淵まで。
 相変わらずマスク用の程よい手ぬぐいはないかと店頭を物色していたところ、私の趣味にピタリ一致する模様を見つけた。青の魚柄。白地に青であること、素朴な筆致の魚模様であること。マスクの用途でなくてもつい買ってしまうような柄だ。勿論即購入し、加工用の布としてストックしている。
 私は模様化される動物の中では魚や爬虫類が好きだ。ポップな演出がされにくいというのもあるが、ユニセックスな生物として書かれることが多いためだ。私はキュートにもストロングにも寄りたくはない。イラスト化された際に哺乳類や鳥類だとそのどちらかに傾くが魚類だと割とフラットだ。それに魚はシンプルに美しい。学者からすれば苦笑してしまう戯画もあるだろうが、魚という水性のものを身に着けることは呼吸の一部が透明になるようで胸に小さな喜びが灯る。
 この生地を裁断してしまうのは勿体ないような気がしてまだストック状態だが、既に普段使いの手ぬぐいは飽和している。次の休みにまたミシンを動かせるか、はてさて。

今日の英語:Fish

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