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矢野顕子さとがえるコンサート2023 featuring 小原礼・佐橋佳幸・林立夫 NHKホール 2023.12.3.

バンドの矢野顕子はかっこいい。

『さとがえるコンサート』が年末の恒例行事になっているなぁと感じるようになったのは、TIN PANとの共演を3年連続で観たあたりからだろうか。もちろん矢野顕子のソロ公演なのだけれど、矢野顕子バンドのライヴでもある。その年によっての異なる味付けはあるにせよ、毎回たたき出されるバンド・サウンドは本当に聴き応えがある。

今更だが、誰もが知る唯一無二の強烈な個性。他人のカヴァーも多いが、" 人の曲 矢野が歌えば矢野の曲 " と彼女自身も言っているように、その言葉通り、オリジナルとしか言いようのない解釈で歌われるそれは、聴く人を選ぶと言っていいほどだ。僕自身も最初はとっつきにくい印象だったし、それは今もそんなに変わっていないように思うが、さとがえるコンサートでの彼女は、そんな僕の固定観念的なイメージをいつも吹き飛ばしてくれる。

矢野顕子さとがえるコンサート2023


1曲目の「The Girl of Integrity」がいきなりかっこいい。機械やコンピュータではなく、演奏しているのが生のバンド…しかもロック・バンドだからこそ、これ以上ないシンプルなイントロが実にかっこいいのだ。このオープニングで気分が一気に高揚したし、最後までこの気持ちは続いた。

”4人でThe YANOAKIKO ” であるというアッコちゃんのMCに偽りなしの、小原礼・佐橋佳幸・林立夫からなるバンドは、「The Girl of Integrity」や「わたしのバス」のような直球エイト・ビートがとても似合う。それを素直に歌うアッコちゃんも実にロック的で素晴らしかった。

中盤で演奏された「千のナイフ」の高いテンション。弾き語りでじっくり歌われた「潮騒のメモリー」。アコースティックなアレンジのビートルズ・カヴァー「I Will」の心地よさ。この流れが個人的ハイライトだった。


毎年思う。バンドの矢野顕子は本当にいい。そしてかっこいい。

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