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UGUISS 40th Anniversary Tour 渋谷クラブクアトロ 2024.5.30.

デビュー40周年を記念してリリースされた2枚組アナログ盤のレコ初という名義のライヴだが、UGUISSは1983年にメジャー・デビューし、翌1984年に解散したバンドだ。残されたレコードはアルバム1枚とシングル2枚。しかもヴォーカリスト山根栄子が2012年に亡くなったことで、活動期のバンドを体験しているのは当時の限られた人たちだけである。解散後はアルバムがCD化され、デビュー30周年には渡辺美里をヴォーカルにライヴを行なっているので、ここで追体験した人は多いだろう。しかし、この当時の名義はUGUISS feat. MISATOだったし、オリジナルUGUISSのベース・レス編成とは異なり、井上富雄がべーシストとして加わっていたから、追体験とは言っても、おそらく音はUGUISSというより " UGUISSの曲を演るスペシャル・バンド " だったと思う。だって歌うのは渡辺美里で、ベースは井上富雄である。その強力な記名性はどうしたって消すことはできないと思うからだ。

そこから10年。デビュー40周年のライヴが発表された。サポート・メンバーとしてヴォーカリストに記されていたのは " 冨田麗香 " 。僕は初めて見る名前だったが、UGUISS自体が初体験の僕にとって、これはプラス要素だ。彼女のヴォーカルに先入観の持ちようがないので、真っ新でライヴに臨むことができるからだ。はたして…。

UGUISS 40th Anniversary Tour

渋谷クラブクアトロで観た2024年のUGUISSは、僕自身は体験したことがないのに、きっとこんなバンドで、ステージはこんな音だったんだろうなと思わせてくれたライヴを演ってくれた。まずはDr.kyOnの参加は大きかったと思う。キーボードでベースも担当し、確実に厚みと色をつけているはずなのに、それが実に自然なバンドの音になっているので、途中の佐橋佳幸によるMCで明かされたベース・レス編成に、言われるまで気づかなかった人もいたのではないか。これがオリジナルのUGUISSに近いライヴだった…と思った理由のひとつだが、ここに輪をかけたのが冨田麗香だ。彼女のヴォーカルは、僕がアタマに浮かべていたUGUISS像を素直に表現してくれた。これはUGUISSの楽曲をUGUISSとして提示してくれたことになる。しかも、おそらく彼女は自身の個性を必要以上に消さずに出していただろう。それが素晴らしいと思った。さらにステージ・アクションでの、実に華のあるロック・ヴォーカリストぶりがまたいい。ロックとはかっこいいものである。かっこよくないものはロックではない。かっこよかった。

久しぶりにいいライヴを体験した夜だった。終演後に見た関係者席の錚々たる人たちの姿も、何だか気持ちが良かった。

誰が来るのか想像するのが楽しかった関係者席
UGUISS 40th Anniversary Tour

【メンバー】
佐橋佳幸(G) / 柴田俊文(Key) / 松本淳(Drs) / 冨田麗香(Vo) / Dr.kyOn(B&Key)

80年代の伝説のバンドUGUISS、デビュー40周年を記念した再結成ライブが決定!

佐橋佳幸(ギター)、柴田俊文(キーボード)、松本淳(ドラムス)、伊東暁(キーボード、シンセベース)、山根栄子(ヴォーカル)のメンバーで1983年、EPICレーベルよりデビューしたUGUISS。翌84年に2ndアルバムを制作するものの、リリースを前に突如解散。その後佐橋、柴田、松本はセッション・ミュージシャンとして現在も最前線で活躍し、この40年間のJ-POPの歴史を築いたと言っても過言ではないキャリアを積んでいる。
その原点と言える傑作1stと、幻となってしまった2ndアルバムをカップリングしたデビュー40周年記念アナログ復刻盤が2024年4月24日にリリースされる。70~80年代洋楽の滋味をいっぱいに湛えたサウンドは、80年代当時においても突出した個性を発揮していたと同時に、今も決して古びることはなく、その非凡な才能を十二分に堪能できる。
そして、再結成ライブが決定。今こそまた聴かれるべきUGUISS唯一無二のサウンドが甦る!

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