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【治療日記22】検査結果が楽しみになるなんて。

6月5日(水)、定期検査のため病院へ行った。夫の仕事の都合がつかなかったので、久しぶりに電車で行くことにした。駅までの道のりは徒歩15分。こんなに歩いたのは久しぶりだなと思う。いろいろなところに紫陽花が咲き始めていて、もうそんな季節なのだなと実感。自分の足で歩くことは楽しかった。だけど、たった15分でふぅふぅ言っている自分もいる。もっと体力をつけなくては。

今日の検査は4つ。採血、採尿、レントゲン、心電図。採血の結果が出るのが1時間半後なので、13時~の受診に合わせて11時過ぎには病院に着くように行き、最初に採血する。それから、心電図、レントゲン、採尿と進めていった。大きな病院なので、それぞれの検査室が離れており、移動するだけでも結構大変だ。お昼ご飯を食べたかったが、病院内のドトールは満席で(ここしか食べる場所がない)、病院外に出るほどの時間もなかったのでお昼はあきらめて診察室の前で待っていた。

思ったより早く採血の結果が出たようで、13時になる前に呼ばれた(こんなことは珍しい。待たされることのほうが多い)。
診察室に入ると、いつもの主治医が迎えてくれた。
「体調、どんな感じ?」
「わりといいです。レンビマの副作用も倦怠感くらい。あとはずっとある腹痛だけです。体がレンビマに慣れてきたのかと思うんですけど、そんなことあります?」
「あるみたいよ。何か月か経ったらラクになっていく人がほとんどやから。まあ、それにしても慣れるの早すぎるけどね(笑)」

そうなんだ。やっぱり体が薬に慣れていくんだな。量を減らしたこともあるけど、以前のように高熱が続くとか、産まれたての小鹿みたいに震えながら立ち上がらないといけないようなことはなくなった。食欲も出てきて、やっと39キロになった(一時期は37キロまで落ちていた)。

そして、検査結果はというと、「特に問題なし!」とのこと。データの数値を見ながら説明してくれるのだが、3種類の腫瘍マーカーを見て驚いた。
・CEA → 1.8 (基準値 ≦5.0)
・CA19-9 → 41.7 (基準値 ≦37.0)
・CA125 → 7.3 (基準値 ≦35.0)

3つのうち2つは基準値内、唯一オーバーしたCA19-9も前回よりさらに下がって41.7で、もうほぼ基準値と変わらなかった。
以前の【治療日記】でも書いたが、治療前の最高に悪い数値の時は800を超えていたのに、それが2か月で72になり、3か月で41.7まで下がったのだ。
800 → 72 → 41
この下がり方、なんじゃ。我ながらすごい。
ご存知の方もいると思うが、「腫瘍マーカーが基準値=がんがない」というわけではない。実際、私は2年前まではがんがあっても腫瘍マーカーは全然上がらなかったし。ただ、これだけ下がるというのは、「がんが小さくなっている」ことは明らかだ。

「やったぁ!」と私。「よかったなぁ」と主治医もうれしそうだ。実際にはやっていないが、私と主治医はハイタッチかハグでもしたいような気分だった(少なくとも私は)。

最近、副作用が軽くなってきたこともあり、ちょっと調子に乗った私は主治医に「レンビマ10mgから14mgに上げてみるのはどうでしょう?」と聞いてみた。単純な私は、こんなに効くのならもっとやりたい!みたいな気持ちになってきたのだ。
主治医は「あー、14か~」と言って、少し考えたが(主治医も本当は絶対やりたいのだ)、「いや、まだやめとこ。せっかく今うまくいってるんやから、またなんかあったら怖いし」と自分を制するように言った。
私も緊急入院したことなどを思い出し、ハッとして「そうですよね、すみません、ちょっと調子乗りました」と言って、二人で笑った。

このまま問題なければ、来週12日に5回目のキイトルーダ点滴入院。そして、26日に久しぶりのCT検査がある。
「14に上げるかどうかは、とりあえずCTの結果見てからにしよう。まずは10mgでこれだけ効果がありましたっていうことを知りたいし」と主治医。
「わかりました。とりあえずCTですね」
「うん、絶対小さくなってるから!」

ああ、ずっと聞きたかったその言葉。
再発してから4年間、3~4か月ごとのCT検査のたびに
「またちょっと大きくなってる」
「普通はどんどん大きくなるもんやから」
「今は少しずつやけど、急にばっと大きくなることもあるからね」
毎回そう言われて(脅されて?)、落ち込んで、不安になっていた。
でも今回は違う。
「絶対小さくなってるから!」
主治医の言葉がなんとも心強かったし、私もそう信じられる。

帰りは夫が駅まで迎えに来てくれた。
スマホを見たら、6000歩以上歩いていた。病院が広いからなぁ。こんなに歩いたのも久しぶりだ。
夫は検査結果を聞いて、もうとにかく喜んで、まだ14時半だというのに「祝杯をあげたい」と言い出した。(17時以降じゃないとダメ!と止めた。夜ごはんの時、赤ワインを開けていた)
26日のCTの結果は絶対一緒に見るという。私が良くなっていることを自分の目で確かめたいようだ。
「よし!26日までに小さくするんじゃなくて、消してやろう!」と私も勢いづく。

2人で「楽しみやなぁ」と言い合って、がんになって初めて「検査を楽しみにしている」自分たちに気づいた。
いつも検査は憂鬱だった。不安と恐怖でいっぱいだった。考えるだけで泣き出したくなることもいっぱいあった。
だけど、今はどれくらいよくなっているのか早く知りたくて、検査が楽しみで仕方がない。

私は以前、「私は奇跡の人になると決めた」と言い、そうnoteにも書いた。
だけど、本当にこんな日が来るなんて!
おっと、ちょっと気が早いかな。でも、「奇跡的に良くなっていること」は確かなのだ。
たくさんの人の祈りが天に届き、たくさんの人のエールが私を絶対に後ろ向きにさせなかった。いつも前を向くことができた。

今日も改めて感謝。
一度でも「Kaoriさんがんばれ」「良くなれ」と願ってくださった方、本当にありがとうございます。ようやくここまで来ました。あと少しです。

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