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あたしの痕跡を残そうと、ふと考えることになった きっかけ その2

母としっかり話しておきたいこと、誤解を解きたいこと、聴きたい事、母から、あたしに言っておきたい事。
お酒を呑みながら、どちらからともなく、口を開き、耳を傾け、対話をする。
時には、笑い、涙ぐみながら。。。不思議とバトルにならなかった。
声を荒げることも、顔を赤らめ、しかめっ面になることもなく、静かに時が流れていた。

「あのね。あたし、今幸せなんだ。あの暗くて、つらい過去があったから、今があると心から思ってる。」
母は、そのことだけは、あんた達(亡くなった弟も)に申し訳ないと思っていると。

『でも、あんたのことは、捨てた子だとおもっているからね。』
知っている。こんな親不孝な奴はいないと感じている。本当に、いらない苦労を、たくさん。。。かけてしまって。ごめんなさい。とあたし。

あたしには、二人の父がいた。生みの親である父と、育ての親である父。
育ての親である父は、3年前に亡くなった。とても悲しかった。
とんでもない生活環境にあったあたしたち(母、あたし、弟)を一生懸命守ってくれた。

生みの親である父。とんでもない人でした。あたしは、大嫌いでした。いや、その存在に恐怖を覚えていました。
路地裏ではいつも喧嘩をしていて、相手をボコボコにしまくっては、うちに仕返しに来る奴らをことごとく返り討ちにしていました。
そんな腕っぷしがありながら、家族を守るなんて意識はゼロ。というかそれ以下。いつも、母が苦労していました。

「ねえ。○○(生みの父親)肺がんで亡くなったんだっけ?
ところで、母は○○のこと、根っこでは好きだったの?」
『そうだね。色々とあったけれど、あたしは○○のこと好きだったよ』

○○と母が離婚(正確に言うと、あたしたちは逃げた)を機に、弟はいわゆる不良となり、そういったことが死につながった。
弟は、母が○○のことを、根っこでは好きと分かっていて、反抗してたのかな。
『それはわからんけどさ。あの時は、○○から逃げることが大事だったと思っとるよ』

いろいろ、お互いの胸の内をぶっちゃけトークで。。。これが親子なのかなと。。。。。

「あのさ、話しておきたいというか、聞いてほしいんだけど。。。あたしね。。。」
『わかっとるわ(笑) 小さいときから変わった子だわ!って感じていたから。』
「ごめんなさい。ホルモン治療をしていて。。。。もうずっと前から。
この歳になって、笑われるかもだけど、女性だと思ってます。」

『わたしが生んだのは、男の子だと思ってたけど、女の子だったんだね』
この期に及んでも親不孝の極みと感じながらのカミングアウト。

母の言葉に涙があふれるとともに、笑顔がこぼれ、何度も「ありがとう」と「ごめんなさい」を繰り返すあたし。

「しかし、ほんと、マジで、あの綺麗だった母ですか!?マジでオッサン化の極みなんですけど。スキンケアとかしとらせんでしょ!」

『そんなもん、面倒くさいがね。もう、長いことしとれせんわ!あんたね、そんなこと言うけどね!あんたもあれだよ。。。あんたを見てると、若いときの自分を見てるようだわ!あんたが、女になっとるんだわ!』

実家を後にする朝。あたしが、洗顔やスキンケア、メイクをしているところを遠目に興味津々に眺めている母との会話。

『気をつけてね。こんど逢うときは、葬式。。。棺桶の中だな。』
「うん。そうだね。それまで、十分楽しんでください。」
ロングのタイトスカートを穿いたあたしを、笑顔で手を振り送り出してくれました。

母、そしてあたしも、入るべきお墓がありません。
母は、献体をすると話していました。その手続きも終えていると。
(おや??っと思われる方もいらっしゃると思います。献体手続きについて。終えているって、あなた知らなかったのと。この先、記事を進めていく中で、へーそうなんだ!と納得していただけると考えています。)

あたしは、それもありかなぁと考えているけれど、ほかに、もっと自分らしい締めくくり方がないかなぁと感じています。

母が亡くなれば、あたしの過去を知る人が誰もいなくなります。
まあ、それはそれで、全く問題ないのですが、過去と今は繋がっているわけで、その先に未来が勝手にやってくるわけで。。。。
過去を振り返ってみることが、今を築き、未来につながるのかなと。

あたしの痕跡を辿ることで、それが出来るかなと考えています。
生まれた所、育った所などの今を訪れながら、過去に遡り、今を認識する。そして、未来に想いを馳せる。
そんなことをしていきたいなと考えています。




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