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幼い日に聞いた、紫の背広の人

父方の祖母がまだ生きていた時に聞いた話。

祖母はかなり霊感が強くて、よく心霊現象を体験していたそうです。
僕が生まれる前に、祖父は亡くなっていて、小さな古い木造の家に
一人で住んでいました。

ある日の深夜、というか、明け方といったほうがいいでしょうか。
午前3時半頃に、電話が鳴ったそうです。
祖母の家の電話は、昔ながらの黒電話で、いきなり鳴るとかなりびっくりする電話でした。

祖母はその時点でなにか感じたらしく、身構えたそうです。
そして電話に出ようとすると、
玄関のガラス戸が、


ガンガンガンッ!!

と、叩く音が聞こえたそうです。

玄関はガラス戸なので、外がうっすら透けて見える戸です。
玄関まで向かうと、戸の向こうに人影が見えたそうです。
ガラス越しに、暗い闇夜になんともアンバランスな
濃い紫色の背広を着た、背の高い男性が立っていたそうです。
祖母はすぐにこの世のものではない存在と気付いて
玄関に塩を撒いたそうです。

するとその、紫の背広の男性は
より一層強くガラス戸を叩いてきたそうです。

しかし祖母も霊感が強く、退いたら余計に霊が来るとわかったらしく
玄関先で外が明るくなるまで、目を瞑り、お経を唱えたらしいです。

朝方にはその、紫の背広の男性は居なくなっていたらしいです。
僕はその話を聞いたとき、怖すぎて腰を抜かしましたし、
祖母の強さに驚きました……

その後、お祓いなどきちんと行ったのか聞くと
「少し迷ってここに来ちまっただけだから大丈夫だ」
と、笑顔で言われました。

僕は全く笑えなかったし、しばらく祖母の家に一人で行けませんでした。笑

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