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病床数について(コロナ病床と医療費の観点から)

OECDデータによると、人口1000人あたりの病床数は、日本13・0床、米国2・9床、ドイツ8・0床

多いですね

今回のnoteでは、病床数とコロナ病床、医療費を見てみましょう


ただ、日本の病床の特徴として以下のものが挙げられます。
①精神科病床(Psychiatric care beds)が多い②長期ケア病床が多い
③有床診療所の形態があること
④急性期病床とリハビリテーション病床の区分がない

日本の病床は世界的にやや多いものの、高齢者が長期に生活する施設が少なく、病床が施設の代わりをしているという状況もあります。

上記の特徴があり、諸外国と比較するのは難しいですが、やはり病床数は多そうです。

コロナ病床

日本のコロナ向け病床は約2万8,000床で、感染症への対応が可能な病床全体約73万床の4%弱にとどまるとされます。

重症者向けの確保予定病床数も約3,600と横ばいの状態といわれています。

厚生労働省の2020年9月の調査によると、急性期病棟を持つ4,201病院の新型コロナ患者の受け入れ実績があるのは、公立病院53%、公的病院69%、民間病院14%。民間の受け入れが悪いですね。

欧州では、多くの病院が大規模な公的病院で、行政の意向を反映しやすいといわれ、コロナ禍において政府主導で短期間に集中治療室(ICU)を増やすなどの対応を可能にしてきました。

やはり、こういう有事の時は公的な機関の方が良いのかもしれません。なんでも民営化するのが良いのかどうか考えないといけないですね。


提供する病床が少ないし、加えてコロナ病床がひっ迫する背景の1つとしては、医療スタッフ数が十分とはいえないことが指摘されています。

OECD データによると 、日本の医師数は、人口1,000人当たり2.5人で、データで示された35か国中28位で、ドイツ4.3人、フランス3.4人、英国3.0人、米国2.6人と比べても少なくなっています。

コロナ重症患者が入るICUの専門医もドイツには約8,000人いますが、日本は2,000人近くにとどまります。

病床というハコモノだけでなく、医師=ヒトも大切ですね。

医療費

政府は今、「地域医療構想」という政策を進めています。人口のボリュームが大きい「団塊の世代」が75歳以上を迎える2025年になると、医療・介護需要が増加すると見られており、それに対応できる医療提供体制を整備する観点に立ち、各都道府県が医療計画の一部として2017年3月までに策定しました。
 
しかし、実際には「病床数を減らすための政策」と位置付けられており、特に財務省は医療費を減らす観点に立ち、地域医療構想に期待している面があります

医療政策の世界では以前から「病床が多いと医療費を増やす」と考え方が支持されています。これは医療経済学で「医師需要誘発仮説」として知られる考え方で、医療サービスでは患者―医師の情報格差が大きいため、患者のニーズだけでなく、医師の判断や治療が医療の需要を作り出すと考えられています。
 
その結果、「病床が作られると、患者と医療費が増える」という現象が生まれやすくなるわけです。

実際、日本では都道府県別の人口当たり医療費と病床数の間に、高い相関関係が見られることが知られています。こうした状況を踏まえると、国際的に過剰な病床を削れば、増加する医療費を抑制できる可能性を期待できることになります。

公的医療保険で使った医療費を意味する「国民医療費」という統計によると、国民医療費は40兆円を超えており、その費用については、40%程度を国・自治体の税金、30%弱を国民が支払う社会保険料、約20%を会社が支払う保険料、約10%を医療機関で支払う窓口負担で賄われています。
 
つまり、医療費の増加は国民に課せられる税金や社会保険料が増えることを意味するわけです。しかも、国家財政は今、借金(国債)で財源を調達している状況ですし、人口のボリュームが大きい「団塊の世代」が75歳以上になると、医療費は一層増えると見られており、その抑制が求められています。その方策として地域医療構想が期待されている面があります。

高齢化が進む日本、コロナを機に色々と考えていきたいですね。

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