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曇天の彼方とほどけ方

くもり空が続いています。近年、気圧弱者ということばを耳にし、こ、これだわ、よくぞ名付けてくれたことよ、と合点しました。

頭痛もちは小学校の頃からで、からだが女の子になってからはいわゆる月経困難症で、数日続く頭痛の間は市版の頭痛も効かず、ずきずきに合わせるように嘔吐を続けては胃の中を洗浄するようなことで、ただただ嵐が去るのをじっと待つのみでした。その様子を見慣れることとなってしまった当時3歳くらいの娘は「おかあさん、けろけろかえるさんみたいね〜」とけろりと言っていました。けろりとしたメンタリティの娘でよかったなと思いつつ、嵐の渦中は「そうでしょ、おかあさんはほんとはかえるさんなのよ」などと娘の目を見据えて冗談を本気で言う余裕はありませんでした。

さて、もう十年ほどになりますか、産む性を卒業し、毎月定期でやってくる儀式のような行のような数日から解放されましたが、曇天の頭痛持ちは相変わらずです。

現役女子のときにはなかった偏頭痛に特化したトリプタン系の頭痛薬はわりに効いてくれるので、かえるになることはめっきりすくなくなりました。ありがたいことですが、気圧の谷が作用して人体天気予報のように頭痛はやってきます。やれやれ。産む性に卒業はあっても、天気予報人体は一生ものなのでしょう。

体内に湿気が溜まっているのか、なんなら黴びるんじゃないかくらいにからだまで重いし、頭痛薬をのむとどんより睡くもなります。けろけろかえるになるよりは、どんよりのほうがずいぶんましではありますし、数日をビニール袋をセッティングした洗面器抱えて過ごさなくてはならなかったことを考えれば、よほどにんげんめいて暮らすことはできます。それでもなにかにこなすのに支障があることには変わりありません。やれやれ。

以前、

 曇天の彼方に宇宙あり 春へ

と詠んだのがオリジナルで、春の季語である養花天をイメージした一句でしたが、入梅3日目のくもり空つづき、季節を進めて、

 曇天の彼方に宇宙あり 夏へ

とすれば、どんよりは晴れてゆくでしょうか。やらなくてはならないことはいつもめじろ押しで、どんよりなどしていられないのですが、動けるとあれこれうごうごどたばたとしてしまうので、からだが湿気て?重く、睡魔で泥まみれなときくらいやすむのもわるくないか、とあきらめたりしています。

 処方箋待ってわたしのほどけ方


#川柳   #月音花声 #エッセイ #気圧弱者 #月経困難症
#創作大賞2024



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