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明かりが、嫌い。

昨日、家が停電した時、正直何ひとつ怖くなかった。こんな夜中に働くことのしんどさや苛立ちは社会人5年目にもなればよーくわかるので、「東京電力さん、ありがとう、ごめんね。」そんな気持ちをゆっくりツイートして、東京電力に最大限のエールを送って、そのまま寝た。ゆっくり寝たら、朝には大丈夫だろう。天下の東京電力さんだもん。あとは起きてだめだったら、仕事休んで、そのあとに真剣に考えようと思った。どうせ回線がパンパンになってネットも繋がらなければ、私にできることなどない。


停電したとき、なんで怖くなかったかっていったら、私は「暗い場所」が好きだからだと思う。当然、昼より夜が好き。明るいより暗い方が好きだし、太陽よりお月様が好き。白より黒が好きだし、夏より冬が好き。

自宅では夜、必要最低限の明かりしかつけない。テレビかスマホかプロジェクターの明かりだけでなるべく過ごしていたいし、お風呂はキャンドルの明かりだけでいい。そんな、神様からしてみたらとてもじゃないけど子供を授けたくない生活っぷりを送ってる。


部屋の電気をフルマックスでつけたとき、「なんでこの明るさに私のバイブスを合わせにいかなきゃいけないんだ」「だいたい家主は私なんだからおまえがあわせろ」みたいな妙な苛立ちが(電球に対して)湧いてきた。うん、たぶん、私はイラチなんだと思う。いや、生理前だったのかな。ばか、そんな使い古されたシャバい言い訳しか思いつかないってことは、本当にイラチってことじゃん。へこむなあ。怒らない人ほど好かれるっていう世の中だってわかってるのに。

部屋を暗くしてると、頭の中に自分の声がよく響く。読書してる時はその文章を読む声、お笑いを見てる時は「やば〜」「うける〜」みたいな声、好きな人がラインが返ってこない時は「ねーなんで返してくれないの🥲」なんて柄にもない甘ったれた声が聞こえてくる。リアルの世界でできないけど、ここで聞いてるのは自分だけ。それを思うと、私は26年間ずっとそうやって「女」を保ってきたのかもしれない。「女子っぽいトーク」「女子っぽいリアクション」「女子っぽい声のトーン」が一切できない私でも、頭の中ではしゃべりたい放題。

喋りたいのはそれだけじゃない。他人の悪口、ムカつく大人たち(もう26歳だけど)への怒り、自分のブスさ故の神への文句。頭の中で鳴らす分には、誰に咎められることもない。腹が立つもんは腹が立つし、嫌なものはいや。

そうやってるうちに頭の中はどんどん早口になっていった。ものすごいスピードで押し寄せてくるさまざまな感情(頭の中のべしゃり)を逃さないためには、集中力がいる。

だから私は、真っ暗な部屋で過ごしてるのかな。


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