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西野亮廣エンタメ研究所から学んだ事を職場に取り入れてみる #1

【現状の敵は何だ?①】

#0 ではお二人の方が亡くなった事をお話したが、その内のお一人は自分も支援に携わっていた
ご家族から見放され、遠い親戚にあたる方の家(ほぼ放置されていて、完全に縁を切るなら使って良いと了承頂いていた家)で一人暮らしをしていた方だが、統合失調症だった。
テンションの浮き沈みが激しく、時には包丁を振り回す事もあった。
家は廃棄に近く床は抜け、壁は穴だらけで屋根も抜けている箇所があった。
生活保護を受けていて、ガス、水道、電気の生存に必要なものは止まらないように司法書士が金銭の管理をしていた。

自分が関わってから約半年間は、特に問題も無く暮らせていたが、年末に差し掛かりボロボロだったコタツが壊れた
そして、日中寒さで入浴して体を温める様子が見られ始めた。
この時、自分はこのままでは危険である事を報告していたが、誰も動く気配は無かった
それから一週間が経つと日中だけではなく、夜、明け方と入浴で寒さを凌いでいたが、統合失調症に関する薬を服薬していたため、入浴しながら寝てしまう様子が見られ始め、自分は溺死の懸念を強く訴えたが、やはり誰も動く気配は無かった

クリスマスが過ぎ年を越せずに彼は亡くなった
溺死だった。
前日の夜は自分が担当していたが、やはり伺った時は寒さで入浴中で玄関に出てきた彼はずぶ濡れだった。
体を拭き、着替えてから雑談をした。
彼は「こんな生活をするくらいなら死んだ方がマシです」そう言った。
返す言葉が見つからなかった。
自分が同じ状態だったら、どう思っただろう。
死にたいと思っただろうか?
答えなんて出ない。
「まだこれからですよ」
必死に絞り出した答え。
自分でも納得なんか出来なかった。
でも、これしか出なかった。何がこれからなんだ?
自分は今年はこれがこのお宅の最後の支援になるため、玄関で「来年も来ます、またお願いしますね」と言ってお別れをした。
「ありがとうございました」
彼が最後に残した言葉

次の日の朝、担当の職員が伺ったところ、彼は溺死で発見された。

あとお一人はグループホームという所に住んでいた方だ。
自分は関わっていないが、何度か外出支援に行ったことがある方だった。

事後の報告の話だけなので、正確な事実かは分からない
報告によれば、当時は二人の職員で対応していた。
夕食後、入浴支援に入った職員の一人は湯船に浸かった事を確認し、少し離れる事をその方に伝え「はい」と、返事があったと言っている。
この時点で問題が既にあり、この方は発作を持っているという事と、入浴支援中に持ち場を離れてはいけない事だ。

持ち場を離れた職員はもう一人の職員に二階の様子を見に行く事を伝え、残った職員は浴室の少し離れた場所で記録を書いていたらしい。
ここでの問題点は二階に行くと言われた時、今は行かなくていいと言わなかった事と、自分が代わりに浴室を見ていなかった事だ。
二階を見に行った職員が戻り、浴室の様子を見ると湯船に顔が浸かり、意識がなく呼吸をしていない状態だった。
すぐに引き上げて人工呼吸と心臓マッサージを行ったが、回復の見込みがなく救急車を呼び、病院へ搬送された。
一次、脳死と診断されたが延命措置も虚しく、翌日死亡した。

何が原因なのか?
この二件の事故は、どちらも人の動きが問題でヒューマンエラーと思ってしまいがちだが、明らかにシステムエラーが原因と思われる。

次は、どんな職場だったのか?という事について話します。


#2へ続く

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