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子供の頃、昭和の想い出 クワガタムシ取り

小学生の時、夏休みに、クワガタムシ取りをしたものだ

当時住んでいた実家は、大阪の住宅街であった

クワガタムシが生息している山岳地とは異なる平地であるが、昔から林がある場がある

それは、地域の鎮守である神社にあった

その神社の境内だけでなく、周辺地域には松やクヌギなどの茂る林が広がっていた

夏にもなれば、蝉がヤンヤン、ミンミンと鳴いていた

子供らが、虫あみ、虫かごを持ち、セミ取りを楽しんでいた

そのセミ取りとは異なり、クワガタムシ取りは昼間にするのではない

まだ、朝日がのぼる前の早朝である

早起きは苦にならなかった

クワガタムシ取りに行く日には、朝4時くらいに家を出た

歩いて10分程で神社に着く

まだ、暗がりに沈んでいる夜明け前だ

神社の鳥居をくぐり、石段を数十段昇ると境内に出る

さらに奥に歩いて行くと、クヌギの木が生えた林がある

松の木の合間にあるクヌギの木を、一本、一本、根本から幹にクワガタムシがいないか探して周るのだ

持参した懐中電灯で、クヌギの木を根本からクワガタを探して照らした

木の幹の割れ目に湧き出ている樹液を吸いに、クワガタムシがしがみついていればしめたもの

そのクワガタを軍手をつけた手で捕まえるのだ

しかし、毎朝、クワガタムシに遭遇できない

たいがい、見つかるのはカナブンである

たまに、カミキリムシや玉虫もいたりした

やはり都会であるので、そうそうにクワガタムシは見つからない

ましてや、カブトムシは生息していない

見つからなければ、また、翌早朝に来る

まあ、二、三日に一匹取れればいいと思っていた

取れたクワガタムシにも、当たり外れがある

大当たりはノコギリクワガタだ

あの戦国武将の兜に付いているような、かっこいい、強そうな形のクワが魅力だ

当たりはコクワガタだ

名の通り、体長が短く、クワも小さい

ハズレはメスのノコギリクワガタ、コクワガタだ

オスのようにクワらしいクワがない

小さな尖った口が付いているだけでみすぼらしい

取れる比率は、大当たりは1、当たりは4、ハズレは5くらいであったように思う

カナブンは、必ずいるが取らなかった

カナブンにも、茶系もいれば緑系の色のものがいた

玉虫は無地の茶系、グレイ系がほとんどだが、まれに七色の玉虫がいて、それは大当たりであった

キラキラとして、艷やかで美しかった

カミキリムシは、白黒の斑点が付いたゴマダレカミキリムシだった

あまり、好きではなくて、見つけても捕まえなかった

もっと大ハズレは、シマヘビに遭遇することだった

やはり、数十センチもあると怖い

最高の大当たりは、ひと朝にコクワガタ二匹、ノコギリクワガタ一匹を取った時だったように覚えている

もちろん、オスクワガタだ

当時の狂喜のほどを、今でもよくよく覚えている

まあ、なんだかんだと、あのマグロ漁師のように、収獲に一喜一憂する毎朝だった

家にはクワガタの飼育用に買った水槽があった

土を入れ、枯れ葉をまいて、木の枝を入れて、そこにクワガタムシを飼育していた

餌は、スイカの切り身や蜂蜜を与えた

宝のような十数匹のクワガタのいる楽しい夏休みをすごしたのを覚えている

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