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「小林正和とその時代ーファイバーアート、その向こうへ」@京都国立近代美術館
小林正和さんもファイバーアートという分野も全く存じ上げなかったけれども京都の美術館巡りのついでという感じで立ち寄りました。
しかし今年初めからしてとてもよい展覧会に巡り合えたと思いました。
まず小林正和さんも「ファイバーアート」は90年代ぐらいまでは割と知られていたらしく京都ではまた今さら感があったようですが、その時代を知らないのでとても新鮮に感じました。
繊維によるアート作品というとテキスタイルやタペストリーが真っ先に思い浮かび、また織物によるインスタレーション作品も観たことがあります。
それらと異なっていて「ファイバーアート」という広い概念にしているのは織っておらず、糸自体を作品素材としているところにあったと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1704641832907-32PGGgHDKe.jpg?width=1200)
年代順に並んでいましたがまず初期作品からして新鮮だったのは糸を重力によって垂らすという手法でした。
当たり前のようなことですがこれだけで充分に作品となっていました。
織ることなく糸と重力だけで作品となっており、形や繊維の種類や色を
変えるだけで全く違った印象になっていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1704641832740-G8mg9qPf95.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1704644397954-BSbyNEhFsO.jpg?width=1200)
次の時代に入ると糸はむしろとても強いものになります。
木や竹またはアルミニウムといった本来であればとても強いものに対して
それらをしならせて糸は緊張させるという逆の存在になります。
これらの関係性については李禹煥氏の「関係項」を思い出しました。
当時の展示では会場自体がとても重要で今回それは完全に再現されていないということでしたが、その重要性を感知してその点を充分な説明と再現展示
を行ったものと行わなかったものに区別をつけていたことに好印象を持ちました。
![](https://assets.st-note.com/img/1704641832677-UFNZnF1kN9.jpg?width=1200)
今回の一番の大きさの展示となったいた作品ですが、おそらく単体で見ても
あまり感銘を受けなかったと思います。
しかしこれまでの展示を観たあとだとあえてステンレススチールを重しとして糸の重力による弛緩と緊張がとても美しく見えました。
本来であれば「その時代」まで観なければいけなかったのですが、そこまではいけませんでした。
それほど「ファイバーアート」という私にとって新しいものが観られた展覧会でありました。
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