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レコードレーベルあれこれ~個人研究のまとめと疑問点~第15回

日本コロムビア発売の洋楽(クラシック、ジャズ含む)LP 盤レーベル変遷(その3)

アナログ・レコードの中心部にある丸いレーベル。
そこにはいろいろな情報が詰め込まれている。

前回は日本最初の邦楽LP盤の話を差し込んでしまいましたので、軌道修正して今回は日本コロムビアでの通称 “6eyes(六つ目)” のレーベルを見ていきましょう。

米本国のCBSがこの “6eyes” のレーベルデザインに用いている "CBS Eye" (一つ目)を用い始めたのは1954年の夏頃だと言われています(参照:Columbia Main Series, Part 2

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そして、“6eyes” のレーベルデザインの第1号は、Doris Day主演のサントラ『Love Me Or Leave Me』(CL-710)(参考:Discogs、レーベル面参考:Discogs)ではないかと目されています。ただ、当時は割り当てられた品番通りの発売ではなく、順番が前後していたようで、上記のアルバムが1955年6月で最も早いものではないかと推測されているにすぎず、確証は得られていません。

では、日本コロムビアがこの “6eyes” のレーベルデザインを用い始めたのはいつ頃なのでしょうか。

調べてみたところ、1958年発売のLes And Larry Elgart And Their Orchestra『Sound Ideas』(YS-101)(参考:Discogs、レーベル面参考:Discogs)あたりが品番的にも最初なのではないかと推測しています。これ以前にYS品番があったかどうかが今のところは確認が取れていません。

上記のアルバムは現物が入手出来なかったので、手持ちのジョン・ウェイン主演の映画『アラモ』のサントラ盤で “6eyes” のレーベルを確認していきましょう。

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Original Soundtrack『The Alamo』(YS-140)

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上部に2連16分音符の日本コロムビアマーク両サイドに矢印、「STEREO]「FIDELITY」の記述、「COLUMBIA」の文字は下部にあり、外枠が黒円で、DG溝内は赤地というデザインになります。盤のサイズは12インチ。1961年3月の発売。ちなみに米盤仕様では上部にある2連16分音符の日本コロムビアマークがなく、矢印が隣り合わせになっています。(参考:Discogs、レーベル面参考:Discogs

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Boyd Raeburn And His Orchestra『Fraternity Rush』(CL-957)

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モノラルになると全面赤地で“6eyes”の周りだけが黒地というデザインになり、「COLUMBIA」の文字も上部になります。日本コロムビア盤を持っていないので米盤ですがデザインは同じです。盤のサイズは12インチ。

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Robert Casadesus, Piano, George Szell Conducting The Columbia Symphony Orchestra『Concerto No.23 In A Major For Piano And Orchestra, K. 488』(ZS-34)

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Masterworksにも“6eyes”のレーベルはあり、こちらはグレー地で、ステレオ仕様、盤のサイズは10インチ。

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Original Soundtrack『The Pajama Game』(OL-5210)

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こちらは米盤ですが、モノラル仕様のグレー地、Masterworksの“6eyes”レーベルデザインです。映画のサントラでも『アラモ』は赤地、『パジャマゲーム』はグレー地と別れる基準がわかりません。先述の映画『Love Me Or Leave Me』(CL-710)は同じDoris Day主演でも赤地でしたしね。

前々回の記述の中で紹介したThe Brothers Fourも1961年のYS品番で “6eyes” のレーベルデザインでしたが、1962年のSL品番で一世代前の赤茶地のレーベルデザインに戻っていたことをお話しました(参考:第13回拙稿)。

1962年のTrio Los Panchos『Latin Hits!』(YS-215)(レーベル面参考:Discogs)でも “6eyes” のレーベルデザインを確認できるのだが、『Time Further Out (Miro Reflections)』(YS-220)(レーベル面参考:Discogs)ではオレンジ地にCBSのロゴがセンターあるレーベルデザインが登場しています。どうやらこの辺りがレーベルデザインの切り替わり時期ないかと推測しているのですが、再発時にオレンジ地のレーベルに差し替わっているようなので確定することが難しそうです。

次回も“6eyes” のレーベルデザインについてもう少し見ていきたいと思います。今回はこれにてお開き。ありがとうございました。

(第15回完)