自己紹介を今更ですが。 Twitterのツイフィールをコピペしたものですがよかったらこんな奴だと簡単に読み流してやってくださいませ。 ■ハンドルネーム 劉樹(りゅうきと読みます) または、 劉樹精(りゅうきせいと読みます) ■ペンネーム 精仁蘭(せにらんと読みます)2017年1月2日漢字一字変更してます。前回は精兄蘭でした。読み方は同じです。正式に変わったのは2017年6月なのでそれまでは精兄蘭でイベントに参加していました。 ■サークル名 個人サークル感傷同盟という名前
こちらではお久しぶりになります。 2024年9月29日開催の、名古屋コミティア65に私のサークル「感傷同盟」は参加いたします。スペースはH-26になります。 そしてこちらがお品書きになります。 これを書いている時点で、 『あなたの知らないメンヘラの世界』と、『18禁エッセイ本 汚物』はまだ刷り上がっておりません。入稿して結構経つのでそろそろ納品される・・・はず! 間に合わなかったらすみません。 感傷同盟の頒布物は当日立ち読みだけでも大歓迎です! メンヘラオーラ放っている
愛してあげるよ。だから、そばにおいで。 その声はどこか優しくて不気味だった。しかし決して声のする方には行かない。行けば怖いことが起こりそうだったから。子どもの彼はその声を恐怖に感じて知らないふりをした。知らないふりをしてやり過ごした。時々聞こえてきたそれは、彼が年齢を増すごとに頻繁に聞こえてくるようになりだんだんと彼を衰弱させていった。 両親が死んだのは彼が二十歳を迎えた朝だった。いつものテーブルにいつものように朝の食事が用意されていた。まだ温かいスープを彼は両親の死体
序章 大陸一の王国、スキアパレリ。この国が他国と戦争していたのはもう三十年も前の話。現在の国王ナトゥラレスは前王が勝ち取った領土と絶対的な統制力を受け継ぎ国を治めていた。 歳は六十二を過ぎたがまだまだそのカリスマ性は計り知れない。その証拠にスキアパレリはとても豊かで平和な国として広く知られていた。広すぎる王国をナトゥラレスは見事な統率力を駆使し、維持していた。 しかし、長きにわたる平和と安寧。それが崩れ去るのはいつも緩やかな前兆の後だ。平和条約を結んでいたはずの国同士で
旦那氏は発達障害だ。 医者からは教科書通りのADHDだと言われたほど、典型的なADHDだ。 結婚する前、旦那氏は自分が「変」だということに気づいていなかった。周りもあまり指摘してなかったのではないだろうか。 私は旦那氏と付き合う中でこの人は「変」だと思った。 まず、この人はよく寝る。眠くなったらどこでも寝る。どんなときでも寝る。重要なことは後回しにしてでも寝る。 次に、こだわりが強すぎる。そして偏りすぎている。興味のないことにはとことん興味がなく、人の話を聞かない。が
最終話 「待ってください」 美しいドレス衣装を着た司馬懿が全身黒の正服衣装の曹操を追いかける。 「貴男には全てが無駄だと言うのですか!」 「・・・・・・許せエルダ」 役名で司馬懿に応える。 あれから半年ほど時は経っていた。そう、クーデターを起こしたあの日から。 劇団内は荒れるかと思いきや正気を取り戻した劉協がメディアで自ら謝罪をし、全てを打ち明けた。当然責任問題にまで発展したのだが劉協は心の病を考慮され医療刑務所に入れられることになった。しかし、幹部だっ
十八 ずっと、好きだった。劇団で初めて見かけた時から、ずっと。曹操は、青龍魏組でありながら他の組の団員である彼のことが好きでたまらなかった。 いつの間にか、トップとして舞台に立つようになって。組トップが他の組のトップを好きだなどとはタブーも通り越していたのに。故にサロンで見かける彼を恋しく気にかけることしかできず。 好きだと、伝えなければならない。伝え、なければ。 ※※※ クラシック音楽が軽快に流れている。それと同時に笑い声も聞こえる。円卓を囲む五つの革の椅子。真ん
十七 「──よし。この段取りでいこう」 と、何やら策を練り終えた3人。関羽が目の前の曹操を見ながら。 「だが、本当にこれでいいのか?曹操」 早口で問いかける。すると曹操は無言で頷いた。 「てめぇ、兄貴のためにそこまでする理由はなんだよ?他の組のくせに・・・・・・」 今度は張飛が問いかける。 「・・・・・・そこは重要なことか?」 しかし曹操はギロリと睨みながらはぐらかした。 「ケッ。格好つけやがって!」 「ふん。・・・・・・劉備のこと、頼む」 曹操は照れながら言い残し
十六 護ろう。この人を護るんだ。 孤児院で寄り添うように生きてきた劉備と関羽、張飛。三人は、義兄弟の契りを交わし、共に生きていこうと決めた。この世で最も栄誉なことである三国漢麗劇団に入団することを夢見て、そして見事に夢を叶えた。しかし、今から八年前に先代の会長が亡くなって全ては変わった。 そう。『姫』というものが作られたのだ。 運命は狂わされた。 劉備は公孫瓚のために努力して姫になった。どんな想いで彼が姫になったのか全てを知っていた関羽と張飛は、彼を護ろうと決意し
十五 静まり返った夜。鋭利な月が雲に見え隠れしながら空に浮かんでいる。そんな夜空の下で口付けを交わす二人の男。 「ん・・・・・・」 月が、雲から顔を出すたびにそんな二人を見ているとも知らずに、まるで不安を相殺するかのようにお互い唇を貪っている。しばらくして、口付けを同じタイミングで止めてからぎゅっと抱きしめ合った。 「兄さん・・・・・・」 相手の胸に顔を埋め不安を消そうとする男、孫権。 「そろそろ、舞台の練習に参加しないといけないな」 そう落ち着かせるように言ったのは
十四 「今から8年前、姫は誕生した」 「最初の姫は劉備様じゃなく、当時玄武蜀組乙女役トップの公孫瓚だったんだ」 関羽と張飛が交互に話し出す。 そう。それは八年前に遡るのだ。 八年前、当時の玄武蜀組に、十五歳の劉備と二つ年上の十七歳の公孫瓚はいた。二人は多少の違いはあれど、外見の美しさは同格でまるで双子のようだった。しかし、劉備と公孫瓚には才能の点で大きな違いがあった。劉備は平凡な才能しかなく、しかし公孫瓚は天才的だったのだ。公孫瓚は十七歳ですでに玄武蜀組乙女役
十三 「アナタは、私達の誇りよ」 「そうだぞ姜維。あの三国漢麗劇団に入れるなんて、こんな栄誉なことはない。しっかり学んでトップとして舞台に立ちなさい」 そう言って、幼い姜維に微笑む両親。その二人の笑顔を前にして嬉しそうに照れてみせるのだ。姜維は、自信に満ち溢れて劇団の門をくぐることになる。 ───まさか、取り返しのつかない事態になるなど決して予想だにもせずに。 ※※※ 太陽が沈みかける夕闇の淡い光が窓から入る頃、なんとか回復した劉備が曹操に支えられながら医務室から出てき
十二 今から八年前のこと。まだ姫というものがいなかった頃だ。玄武蜀組の劉備と公孫瓚は幼いながらもその美しさで劇団内の人気を二分していた。 白い肌、赤い唇、大きな黒い瞳に長い睫毛。長い黒髪はサラサラと流れ、スラリとした高さの背に痩せ型の体。性格もお互いに控えめで穏やかで。まるで二人は一卵性の双子のような美しさだった。 しかし、二人には決定的な違いがあった。それは演技力に差がありすぎたことだ。 平凡以下の演技力しかなかった劉備に対して、公孫瓚は天才的だったのだ。美しいだけ
十一 ジジッ。 「つッ・・・・・・」 一瞬の痛みが肉の焼ける臭いと交わる。痛覚を刺激しながら肌に押し当てられるタバコの火は香ばしく煙を昇らせて消えた。その場に上半身裸で土下座させられ両手首を後ろ手に縛られた姜維。彼の白く滑らかだった広い背中には、真新しい切り傷と細く長いミミズ腫れと、何度もタバコを当てられたらしい火傷の痕がまんべんなく広がっていた。 「はぁはぁ」 何度も繰り返される体刑に姜維の顔は苦痛に歪められていた。すると、火の消えたタバコをピンっと跳ね棄
十 真っ暗な空間に大きな円卓。革製の立派な五つの椅子が等間隔でその円卓を囲む。今時珍しい蓄音機からはどこかで聴いたことのあるようなクラシック音楽が流れていた。パラパラと資料を捲るのは、椅子に座った四人の男。一通り資料に目を通すまで黙っていたその中の一人がいち早く読み終わってから顔を上げた。 「いつの間にか、こんなことになっていたとは・・・」 それをきっかけに他の三人も一斉に顔を上げる。 「許されるわけがなかろう。あの御方・・・劉協様の寵姫となるべきなのは劉備だけだ
九 三国漢麗劇団。女人禁制の男の園。その中では、男同士の恋愛が許されている。団員同士が恋愛することで、より質の高い芝居ができる。そういう考えが昔からあるせいだ。そして、多感な思春期に男のみの世界に入ることは団員達にとって地獄にも似ていた。男達は自らの欲望の捌け口を同じ団員に向けることで精神の安定を図るのだった。 それは、団員だけではなく彼らをまとめる劇団総監督の諸葛亮も同じだった。三国漢麗劇団の中で最も美しい容姿に声に、それはまるで幻の鳥、迦陵頻伽と揶揄されるほどの男