Zero Gravity

“曲からインスパイアーした文章シリーズ~その6~”

「Zero Gravity」

薄暗い闇の中で “命” すなわち、生きている事をただ感じる。頭の中にメロディーが流れているのか、身体は自然とリズムに合わせて、踊り出そうとしていた。


自分の鼓動を感じつつ。そして僕のいる場所から少し離れた所には、同じ年頃の少女がいた。僕の顔見知りである。

その空間は無重力の状態で、ぼくの心までもふわりと浮かんでいた。なぜかその場の雰囲気に馴染み、いつしか心さえも躍り出していた。不安定さに戸惑いつつも高揚感をも覚える、意味もなくワクワクしている。そして離れた少女に呼びかける。

二人の居る場所には、ぼやけた青色の光と薄らと輝くラインが飛び交っていた。そのフロアにはガラスから放つ光と相まってきらびやかだった。

辺りは暗闇に覆われている中で、思い思いに踊り出した。浮遊しながら手足を動かし身体で表現していく、それは “今ここに生きている” 事を感じながら。何物にも捉われない自由な感覚を覚えたぼくの心は、鼓動の高鳴りと共に心も更に高揚していた。

そして二人が思い思いに踊る場所には、様々な色の光が織りなす空間へと変わっていた。辺りは未だ夜の闇に包まれているのに、彼らのいる周辺だけが無数の光に包まれていた。

“暗闇を恐れる事はない。もしも不安ならば僕の手を繋いで” と願っている僕の思いとは相反して、君の表情は心ここに在らずだ。何故なら君の目線は僕の方ではなく何処か遠くを見ているから。

ぼくは「ここにおいで」と声を掛けてみた。その声の方へと少女が振り向いた。淡い闇の中で二人は戯れながら、その闇の先にあるものが何かを見つけに夜の闇に消えていった。

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