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文化がもたらす人類進化、計算機とモデルの役割

絶え間のない模倣とイノベーションの繰り返しこそが、人類進化が成功してきた鍵である。

また、人類が更なる進化を遂げるためには、知識を段階的に改良していくことが不可欠であり、集団としての社会的学習の効率をさらに向上させる必要がある。

文化がもたらす生物進化 [1]
 1)人間が圧倒的な数の多さや高い知力など、ほかのどの動物にもない特質を獲得したのは、ほかの個体のやり方を正確に模倣し、世代を超えて知識を伝達する能力を獲得したからである。
 2)他者の知識やスキルをうまく模倣できる個体は生存に有利。霊長類は優れた視覚、視覚と運動の協調など、模倣に必要な脳機能を獲得した。
 3)人間は自身が生み出した文化に適応するように自らを進化させてきた。文化の継承は遺伝子の継承と同様に、進化の上で重要な役割を果たしている。

また、社会的学習の効率を高めるために重要なのは集団のメンバー間における情報伝達の忠実度の高さをできる限り高めることであるとのことであった。

情報伝達の忠実度を高めることができれば、種の集団に備わる文化的能力の範囲、集団のなかで文化的性質が持続する期間の両方を指数関数的に増加させることができる

とても興味深い描写であった。

これまで多くの学術研究分野では専門分野を細分化し、専門分野ごとに深掘りする研究を続けてきた。

一方で、現代においては、学術研究における問題の複雑化、多分野横断テーマの増加に対応するための、研究アプローチ自体を見直す必要性が高まってきている

やはり我々サイエンティストにとって『情報伝達の忠実度の向上』、『研究における作業効率の向上』は重要課題である

この文脈において、最近とても重要であると感じており、研究活動をしてきてるテーマには以下のようなものがある。

1)複合物理現象の数値シミュレーション手法(物理モデル)の構築
2)システム開発手法の一般手順化と効率化のためのプラットフォーム開発
 (高いシステム信頼度と開発効率の両立、開発知見の再利用性の最大化)
3)自然言語とモデルを適材適所に活用した知見の記述方法(知識のモデル化方法)の構築

これらはいずれも情報伝達の忠実度や作業効率を向上させるために、
知識をモデル化していることが重要な点である。

モデル化することで、他者にも正しく情報伝達することができ、人間に欠けている多量データ処理や高速なタスク実行をコンピュータの演算能力により補うことができるのだ

<参考文献>
[1]『ヒトがヒトを進化させた』別冊日経サイエンス 人間らしさの起源 社会性、知性、技術の進化史

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