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2024富士登山 プリンスルートでの登頂を目指す(登頂編)

8/3(土)朝

「ブブブー、ブブブー」

小刻みに震えるスマートフォンの振動で朝5時に目覚めた私は、シャワールームの温かいお湯を浴びてようやく覚醒しました。

キャビンハウス ヤド

良く寝た気がする、少なくとも寝不足ではない。

一安心した私は、去年と全く同じアイテムで身なりを整えた。

・トレッキングシューズ 3,900円
・メルカリで購入 中古ザック 2,000円
・amazon ストック 2,000円
・ワークマンストレッチパンツ 1,900円
・ランニング大会で貰ったTシャツ 0円
・妻に借りた日焼け止めSPF50 プライスレス

去年と同じ装備

荷物をまとめお世話になったキャビンハウス ヤドを出発し、駅前のコンビニで朝食のパンと魚肉ソーセージ、ペットボトルの水を購入しました。

残っていた昨日の水2Lは、携行したウォーターバッグ2つに分けて忍ばせておいた。

これで1日分の水は大丈夫だろう。

富士山でドリンクを買うと結構高いので、できれば持参する水で賄いたい。

富士宮駅バス停留所

6時ちょうどに富士宮駅に到着すると、既に富士宮口五合目行きのバスには10人程が行列していた。

座席数を考えれば、確実に座る事が出来そうだ。

6:35発の富士宮5合目行きバスを待つ行列

富士宮口五合目まで、約1時間半のバス移動を考えると何としても席に座って体力を温存しておきたかった。

バス乗り場受付のお姉さんの言う通り、出発の30分前に来る事でそれが可能となりました、本当にありがとう。

往復バスチケット

待ち時間に、2024年から必要となった静岡県 富士登山事前登録システムで登録を行っておく。※(富士宮ルート、御殿場ルート、須走ルート)では、入山料は不要だが、事前登録の必要があります。

やがて6:35に富士宮駅を出発するバスは満員御礼となり、我々は富士宮口五合目を目指して出発した。

満員御礼のバス

満員バスは町中から山の中へと入ると、ぐねぐねと同じ様な風景の山道を登りながら富士宮口五合目に向かって高度を上げていった。

富士宮口五合目

予定通り7:55 富士宮口五合目に到着。

気温は涼しいのですが、かなり日差しがあるので登り出せば暑くなると思われます。日焼け止めと、帽子は必須アイテムです。(※ヘルメットは無料で貸してもらえます)

富士宮口五合目

富士宮口五合目は、既に標高は約2,400mの高さにあります。

しかし、あと1,376m登ればよいだけだと考えると気が楽です。

ここで高度順応するために朝食を食べ1時間程休息をします、その間にも富士山の高度別の気温と風を調査する。

前回は強風に苦しめられたので、天候も晴、風も弱い8/3(土)である今日を登山日とした。

高度別の気温と風

そしてこの天候であれば、最短の富士宮ルートでなくプリンスルートでも十分に日帰り登山が可能であると私は判断した。

プリンスルートとは?

プリンスルートとは、名前の通り皇太子徳仁親王(なるひと しんのう)殿下が富士登山の際に利用されたルートです。

スタート地点は、富士宮ルートと同様に富士宮口五合目から出発するが、六合目から宝永山火口を通って御殿場ルートへと抜けるコースです。

このコースの良い所は、富士宮口五合目2,400mからスタートできる上に登山道がすいてるのです。

移動距離は長くなりますが、渋滞が予想される富士宮ルートよりも早く到着できるかもしれません。

ネット情報によると行動時間も富士宮ルートと大体同じ程度で、登り6時間・下り3時間半を見ておけば良いとの事。

私に当てはめると、出発時刻は9:00なので帰りは18:30の予定です。

富士山保全寄附金

富士ヒノキの木札ストラップ

富士山保全寄附金 1,000円を納めて、富士ヒノキの木札ストラップを戴いた私は、元気いっぱいで五合目を出発しました。(※富士宮口は青色ストラップ)

六合目を抜けて、宝永火口を横目に自然の雄大さを感じながら歩みを進めます。

富士山頂まで目指さずとも、この宝永山を登るだけでも富士山の雄大さを十分に体感する事は出来るので、おススメです。

出典:富士登山オフィシャルサイト

案の定、プリンスルートは空いていました。

六合目からは御殿場ルートまで横移動なので、この間にも高度順応が進み高山病の危険性が減る様な気がします。

ただ前回は、帰り道(下り)に宝永火口を通過したので楽だったのですが、登りの宝永火口は中々にきつかった。

足元が砂地のように脆弱で、踏み出した足がずり下がって中々前へと進む事ができません。

この区間は「この数センチを積み重ねれば、やがて3,776mに到達するのだ」と自分に言い聞かせながら足を前に踏み出し続けました。

岩場ゾーン

前回の強風が吹いた宝永山 馬の背を抜け、御殿場ルートに合流し登って行くと段々と岩場が増えて来ました。

この辺りになると、足元がしっかりしてきたので登りやすくなります。

そして、わらじ館⇒砂走館⇒赤岩八合館と難なく登って来る事が出来ました。

前回は、ここ赤岩八合館に宿泊して高山病になり登山終了となりましたが、今回は幸いにも高山病の症状は出る事なく登り続ける事ができそうです。

赤岩八合館を横目に、このまま登って行きます。

岩場をひたすら登っていく

まだかな~

ひたすら登ります。

途中で水分補給します。

なかなか山頂が見えない

まだかな~

ひたすら登ります。

途中でカロリーメイトを食べます。

まだかな~

ひたすら登ります。

途中で水分補給します。

まだかな~

ひたすら登ります。

途中であんぱんを食べます。

これを何度も繰り返していると、ようやく白い鳥居が目の前に見えて来ました。

やった、山頂だ~!

ばんざーい!

富士山頂に到着

富士山頂に到着

私は山頂に着くと、すぐに郵便局へと向かいました。

去年出しそびれた、ハガキを富士山頂から投函するためです。

山頂から郵便物を出すと風景入通信日付印を押してもらえるのです。(※登山の当日はポストが故障中の為、郵便局に直接出しました)

鳥居を前にポーズ

周りでは様々な登山ルートから登ってきた皆さんが、写真を撮って喜んでいます。

私は山頂の噴火口を見て日陰に腰を掛けて暫く休みました。

ふと時計に目をやると既に時刻は15:40を過ぎています。

登り6時間予定の筈が、6時間半もかかっていたのです。

途中で休憩しすぎたのかもしれません。

残り3時間20分で富士宮五合目まで戻れるかな…?」

富士宮ルートにて下山開始

私は、水分補給をしてプリンスルートでなく富士宮ルートで下山する事にしました。

「もしかしたら、最終バスに間に合わないかもしれない」と思いながらも、足への負担を減らすためにストックを巧く使って下山を開始しました。(※初心者はストックがあった方が絶対に良いと思います)

7合目からのラストスパート

十分な睡眠をとっていたので、体力、気力共に残っています、山頂⇒9合目⇒8合目⇒7合目を、2時間半程で下る事が出来ました。

最終バス 出発時刻19:00まで、残り50分です。

「間に合わなければ、タクシーで帰るしかないか…」

私の中で若干の諦めムードが漂いながら7合目のスタッフさんに「5合目までどの位かかりますか?」と聞いたところ「健脚の方で、30~40分くらいかな?」との回答をいただけました。

それならば、何とか間に合いそうです。

レモンウォーターのペットボトル(500円)を購入して休憩後、再び富士宮口五合目を目指しました。

この時刻になると、登山者もかなり少なくなっていたので渋滞もなくスムーズに下山する事が出来ました。

周りの下山している方々も、何とか19:00の最終バスに乗車するために頑張って下山しています。

みんな頑張れ~!

心の中で励まし合いながら、我々下山組は無事に富士宮口五合目に到着しました。

富士宮口五合目

18:50 
辺りは、すっかり暗くなってきました。

19:00出発まで下山してきた登山者達を待っていたバスは、やがて満員となりました。

水ヶ塚公園行きのシャトルバスも全員が乗りきれなかった為に、我々の乗車する富士宮駅行きのバスが急遽 水ヶ塚公園を周って帰る事となりました。

皆よく頑張った、きっと各々にドラマがあったのだろう。

再び山道をバスに揺られながら疲れ切った私は、どうしても温泉に入りたくなりました。

「日焼け止めを落としてから、ぐっすり眠りたい」

「富士宮駅からの夜行バスに乗る前に、絶対に温泉に入りたい」

ガンガンに冷房が効いたバスの車内で冷え切った私の体を通して、その欲求はさらに強いものへとなっていきました。

しかし、残念ながらGoogleで検索しても富士宮駅の周辺には温泉施設がありませんでした。

やむを得ず、バスを途中下車して富嶽温泉 花の湯 立ち寄り湯80分(※土日1,100円)に入る事にしました。

富嶽温泉 花の湯さんには、多くの富士登山帰りのお客さんで溢れていました。

私もヨレヨレになりながら脱衣場で服を脱ぎ、冷水器で水を十二分に飲んでから天然温泉にゆっくりと浸かりました。

「生き返る~」

砂埃に塗れた私の体は、まるで裸の赤ん坊の様に生まれ変わりました。

このまま、このホテルに泊まろうかな…

甘い誘惑に心が揺らぎましたが、高速バス(フジヤマライナー)に乗ってしまえば、8,400円で寝ている間に大阪へ帰れてしまいます。

「駄目だ、駄目だ、家族の待つ大阪に帰るんだ」

悪魔のささやきを断ち切った聖アントニウスことブルクロは、さらに富士宮駅まで30分歩いて向かう事にしました。

歩き出して間もなく、折角 綺麗になったのに再び汗がしたたります‥

しかし、全く知らない土地を夜中に歩くのは気持ち良いものです。

とぼとぼと、GoogleMapを見ながら歩き続けます。

そして22:00 富士宮駅へと到着。

富士宮駅バス停にて

バス停で22:21発高速バス(フジヤマライナー)を待ちます。

事前にスマホで予約しようと思ったのですが、土曜日の夜だったので既に満席となっており予約ができませんでした。

だが高速バスには、大抵 当日キャンセル席があるものです。

22:20
やってきた高速バスの運転手さんに「空いてる席ありますか?」と聞いたところ「ごめんなさい、今日は空きないんですよ‥」との回答。

ガーン!

私は全く知り合いのいない土地で、路頭に迷う事となりました。

この時間からだと、新富士駅からの新幹線も既にありません。

よし、駅の近くにあるホテルを一軒ずつ当たってみよう、まずは昨日お世話になった「キャビンハウス ヤド」に電話だ。

♪ トゥルルル……

「はい、キャビンハウス ヤドです」

「昨日お世話になったブルクロというものですが、空き部屋ってありますか?」

「お調べしますのでお待ちください」

「はい」

「‥‥」

「一部屋だけ空き部屋があります、ホール入口前の部屋なので少し騒がしいかもしれませんが、よろしいですか?」

「はい、大丈夫です!」

助かった‥

私は夜食を再びコンビニで購入して、キャビンハウス ヤドへと向かった。

つづく

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