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コンビニバイトと小学生と私

学生時代は今で言うところの「推し活」ってやつの為にバイトは欠かせなかった。(布教活動ね)
学校帰り5日間に1つとその他2つを週2ペースで最大3つのバイトを掛け持ちしていた。

悪魔教がきっかけで音楽雑誌を大量に購入したり、音楽番組を見るうちに色々なバンドのライブにも行きたくなり必死で働いた。
学生生活というよりはバイトとライブとミサの10代だった。

高校の授業料も自分で払っていたので苦学生か!って感じだが、実際母が入院したり色々な家庭の台所事情の雰囲気は伝わって来ていたから親には一切甘えない事にした。
この事は親が亡くなるまでずっと続き逆に親には甘えられなくなってしまった。

毎日のバイトは公共機関なのでホワイト〜ってやつだったが、別に入れてたコンビニバイトが曲者だった。

フランチャイズの名前からしたら7時から23時までしかやらないのかな?の店だ。
曲者はオーナー。とにかくケチ。
労働基準法なんてあったもんじゃない。
当時は高校生だからそんな知識もなく悔しい思いもしたもんだ。

土日は朝から入るのだが、昼休憩は100円玉を渡されて売り物の菓子パンを買わされ、バックヤードでドリンクとパンを食べるだけの時間しか無かった。

監視カメラがあったので食べ終わってダラダラしてるとつまみ出される。実質休憩は10分だ。
まぁ当時はスマホとか無いから時間の潰しようがないんだよね…。

レジも混雑関係なくシフト交代の度にレジ締めをし、誤入力や釣り銭間違いのチェックは厳しかった。
そのレジ締めで私は誤入力100万の気録を出した事がある。
牛乳1本を100万と入力していて、驚いたお客様に指摘され慌てて訂正したが履歴は残った。
辞めるまでこの記録は抜かれた事はない。

夕方までのレジは主婦パートさんが占拠。
学生は外の掃除と品出しと検品。
やさぐれながらのバイトだった。

そんなつまらないバイトでも土曜日の夜は少し楽しかった。
塾帰りの小学生達が小銭を握りしめてアイスを買いにくるのだ。

当時はサーティワン並にアイスのBOXがあり、コーンに乗せて渡していた。
休憩中にこっそり食べたりもしていてなかなか美味しかった。

小学生「バニラ下さい」とお金を渡す。
私「嫌いなものある?」と聞く。

小学生「え?…ないです」
私「そうか」

私「勉強頑張ってエラいからサービスな」と言って3色盛りにして渡しす。

小学生は驚いたがすぐに笑顔になり「ありがとうございます!」と嬉しそうに受け取ってくれた。一緒にいた他の友達にも同様のサービスをした。

そして「いいかい?私は土曜日にしかいない。だから誰にも言ったらダメだよ約束だよ」と自らの保身に走ったw
小学生達は「はい!」と元気よく返事をしてくれた。

そんなやり取りは2ヶ月位続き、ついに私が就職のためにバイトを辞めなければならなくなった。
気掛かりだったのは塾帰りの子達。
辞めると伝えたら「えー!辞めないでー」と言われた。

「そんなにアイス美味しかった?」と聞いたら「勉強を頑張ってるのを褒めてもらったのは初めてだったから…」と。泣かせるじゃないか。

最後には特別な!と言って5段以上重ねてあげた気がする。もうその店舗もないし時給は爆安だったし休憩も無かったから時効だろう。

あの小学生達ももう人の親になって中間管理職あたりになってるかもしれない。心当たりのある方は恩返しに来てくれてもよいよw

でも殺伐としたバイトの時間を明るくしてくれたのは君達なんだ。ありがとう。

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