作曲・編曲75
どうせなら、というところで今日も冨田恵一の編曲作品について書きたいと思います。
曲は言わずとしれたMISIAさんの「Everything」です。
もうこの曲、コード進行考えるだけで凄いなあ、と思える作品ですね。関ジャムでもやってましたが。旋律が変わる毎にコードが変わっていくし、ノンダイアトニックコードのオンパレードですから。
でやはり斬新だったのは、そのコード進行に合わせたストリングスでしょう。
普通こういう使い方はしないですから。
というのも、やはりストリングスアレンジというものは、クラシックの影響が色濃く出ているからです。
まあ実際のポピュラーではそんなことは無視して、おかず的に使われることも多いですが、きちんとアレンジした作品では、各パートが独立した旋律を持ちながら、和声も形作る、という形になるからです。
和声法と対位法の両方を満たさなければならない、というのが本来の標準パターンです。
ただこの曲のように頻繁なコードチェンジが行われると、コードを形作るという要素が強くなり、旋律の独立性が失われます。
でも、あのイントロ、聴きごたえありますよね。
何故かというと、頻繁なコードチェンジの影響です。音が頻繁に動く上、ストリングスは持続音なので、ピアノのような減衰音を使うよりコードチェンジが一段と強調され、それだけでインパクトが強くなります。
で、イントロ、ほとんどストリングスだけで作っています。
で、そのコード進行が凝っているから、効果的に響くんですよね。
ある意味「反則」に近いやり方ですが、やはり作品が良ければ「勝ち」なんですよ。音楽の世界は。
こういうことを意識的に行ったからこそ、この作品が冨田恵一さんの代表作、という位置づけになっているのかと。
これだけ書いてイントロの話しかしていませんが、イントロが無い曲であったり、あっても短い曲が多い昨今だからこそ、イントロに拘ってみました。
もちろんこの作品、その後のエレピの醸し出す雰囲気や木管系の音の使い方も上手いのですが、やはり出だしは重要で、逆に最近の曲のイントロがなかったり、あっても短いのは出だしがそれだけ重要だからなんですよ。
こういう作品を聴くと、そういうことを実感させられますね。
ほぼ書きたいことを書いていて、読んでいただけることも期待していませんが、もし波長が合えばサポートいただけると嬉しいです!。