昭和歌謡㉕
今日は予告通り、ある方の「昭和歌謡」の定義を元に「昭和歌謡」について考えてみたいと思います。
その定義とは「ヨナ抜き音階の旋律をカデンツ和声が支えている」ものだ、ということです。
確かに何となく納得感はあるんですよ。何となく(笑)。
ただあくまでも「傾向」というもののような気もします。
両方を一度に語ると話が長くなるので、まずは「ヨナ抜き音階」(この場合実際には「ヨナ抜き長音階」を指すと思われる)についてこれから書くことします。
まあ「ヨナ抜き長音階」については複雑な話でもなく、例えばハ長調であれば7音からFとBを抜いたものです。これが「日本的」ということは良く言われるのですが、これはかなり事実と違っている話で、元々は「純邦楽」の中の音階の一つにしか過ぎなかったものが、明治以降の歴史の中で「日本的」とされるようになったものです。
演歌では良く使われる音階ですね。
ただ「昭和」の「歌謡」に特有なものかというとやはり違っています。
というのも大正以前にも平成以降も、普通に使われている音階だからです。
平成でも結構、というかかなり多いんですよ、ヨナ抜き長音階。特にサビで使われるパターンはかなり多いです。
これが「日本的」と勘違いしている方が意図的に使う場合もあれば、あまり考えないで使っている場合もあります。
また当然ですが、全ての昭和の作品が「ヨナ抜き長音階」ではなく、普通に7音使った曲も多い。
そう考えると、これは明確な定義にはなりえない。
ただ、一つ重要な点があると思います。
良くは知りませんが、昭和の頃は意識して使われることは少なかったのでは、という点です。たぶん普通にあるものとして使っていた。
無自覚に使われるケースが多かったのでは、と考えています。もちろん自覚的に使っている作品もあったのでしょうが、それはおそらく少なかった。
今ももちろん無自覚に使っている方はいるのでしょうが、意識して使われることが増えているということは言えるのかと。
また昭和での使用頻度自体の高さは明らかに言えることでしょう。
そう考えると完全に正確とは言えないまでも、傾向としては掴んでいる、と言えるのかもしれません。
明日は「昭和歌謡」と「カデンツ」の関係性について考えてみたいと思います。
ほぼ書きたいことを書いていて、読んでいただけることも期待していませんが、もし波長が合えばサポートいただけると嬉しいです!。