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お気に入りの場所

5月は暑いというイメージがあった気がするのに、山のふもとの住人だからかもしれないけれど、朝夕は寒くて寝るときに毛布が手放せない。けれどもう冬の気配はなくて、夏もそこまできている。

こんな日の小鳥はいい。とてもいい。

うちの小鳥にはいくつかお気に入りの場所があって、人体で長居する場所といえば手の中と首のうしろ。暑くても寒くても、もぐりこもうとしがち。いわんやコザクラインコは往々にして愛が重すぎる傾向にあるので、暑さよりもいちゃいちゃを優先しがち。そもそもインコの体温は40度くらいあるらしく、小さいのにとってもあったかいのだ。逆に夏場に手の上でずっと小鳥を抱っこしていると、手汗でお腹の羽毛がびちゃびちゃになって、大変申し訳ない気持ちになる。その点、冬場は(たぶん)win-winだ。

けれど普段、私が提供できているのは手の中だけだ。放鳥時どころかケージ内でも提供しているので、休みの日の左手が長時間勤務中に及ぶことも珍しくない。トイレ休憩に行くだびに軽くお仕置き噛みされるような待遇については是正の必要性を感じている。

逆に私の母が提供しているのは首のうしろだけ。これは「いじられたくはないが、そばにはいたい」小鳥と、「かじられたくはないし、じゃまされたくもないが、ことりはかわいい」母との平和な共存関係とも言える。足が半分はみ出しているのはご愛嬌。手の中については、互いの信頼関係のなさでこちらも合意していて、互いに拒否している平和な共存関係。

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私が首のうしろを提供できないのは、極度のくすぐったがりだからだ。中にもぐりこもうとごそごそするツメにも、首筋をこちょこちょする羽毛にも、耐えられる気がしない。そもそもマッサージも苦手、美容院で髪を乾かされる際に微風だと無理、心電図やエコー検査は地獄、相手によっては肩を叩かれるだけでもくすぐったい、日によっては自分で触るのもくすぐったいくらいなのだから、どう考えてもふわふわ羽毛は無理だ。無理なのだ。あきらめてほしい。夏場の肩の上への着陸もご遠慮いただきたい。夏服は、冬服ほど私を守ってくれていないので。

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