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悲しいときこそ筑前煮

 年が明けたら夫の実家へ挨拶に伺うのが毎年恒例で、いつも料理上手な義母がテーブルいっぱいに手作りのお節を作って待ってくれていた。今年も楽しみにしながら伺った。

 けれど家族が増えたこともあり今年は仕出のお節だった。もちろん美味しかった。手作りのエビフライも、豚カツもめちゃくちゃ美味しかった。

 だけど私は何よりも筑前煮が食べたかった。亡くなった祖母が元気だった頃、いつも親戚が集まればテーブルいっぱいに料理を出してくれて、必ずそこに筑前煮が並んでいた。

 柔らかくくたくたに煮込まれた具材全部に味が染みていて、鶏もも肉、にんじん、ごぼう、レンコン、こんにゃく、どれを食べても美味しい筑前煮。

 慌ただしい年末年始を過ごす中で料理は疎かになっていた。外食がほとんどで、作ってもパスタやビーフシチューなど洋食が多かった。

 ようやく落ち着いた日に私は風邪をひいたけれど、筑前煮を作る意思は固かった。

 以下自己満足な手順のご紹介。

 こんにゃくは味が染みやすいように手でちぎって、お湯を沸かして下茹でする。絹サヤも一つ一つ筋をとってから下茹でしておく。にんじんは皮ごとが美味しいから丁寧に洗ってから乱切りに。電子レンジで柔らかくして少しの間水に晒しておく。レンコンも丁寧に洗って乱切りにしたら酢水につけおく。しばらくしたらザルにあげて水でしっかり洗い流し電子レンジで柔らかくする。ごぼうは包丁の背で優しく皮を洗い流し斜め薄切りにして水にさらす。鶏もも肉は皮に残った毛をむしって小さめの一口大に切り酒を振りかけておく。しいたけ忘れてた残念。
 ここまで丁寧にできたらあとは適当にごま油で炒めて味付け、いったん冷ましてから温めて直し器に盛ると完成だ。

 いざ食べると、めちゃくちゃ美味しかった。夫にも好評で『これ味付け何?』と、料理を全くしない人に聞かれたので適当に答えておかわりした。夫も娘もおかわりした。

 悲しいときはおにぎりを食べなさいと孫が祖母に言われる話を思い出した。悲しいときにお腹が空くと余計に悲しくなっていけないからと。

 悲しいとき、落ち込んだときこそ丁寧に料理をして美味しい優しい食事を摂ることが大切だと実感した。


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