人生の終わりにいい人生だったと振り返る余裕はないのかもしれない

 先日、祖母が亡くなった。最後になるかもしれないと病院にお見舞いに行った夜、私が帰った数時間後に息絶えた。

 口腔癌を患っておりリンパなどにも転移があったようだ。高齢だったし認知症も患っており、どの道弱っていくことになるのは素人が見ても明らかな事だった。

 お見舞いに行った最後の日の彼女は息をするのも苦しそうで、意識も朦朧としているようだった。その中で、彼女は自分の生きた人生を振り返っただろうか。

 もし魂というものが本当にあるなら、人生を振り返るのは肉体を離れた後だろう。きっと魂だけになった彼女は、先に待っていた祖父と再会して軽口をたたいているはずだ。

 訃報の知らせが入る数分前、お風呂で身体を洗っていた時、ふと「あ、おじいちゃん。」と思った。

 私は霊感ゼロで全く見えないし感じないのだけれど、ご近所さんにすれ違ったときに自然に出るような空気が不思議で、なんだろうと思っていると、祖父と祖母が並んで『ありがとう』と言っているような気がして「ありがとう」と心の中で伝えた。

 そしてnoteに記事を投稿した直後、母からの電話で彼女が亡くなった事を聞いた。

「最後に会えてよかったね、よかったね、」

お互い泣きながらそう話した。きっとそう言って泣けるのは少しずつ彼女の死が近づいているのを知っていたからで、これは周りの人間にとって僅かながら幸福なことだった。

 最後に、素直に笑顔をふりまく事は絶対にやったほうがいいと改めて思う。どんな過去があっても乗り越えられるタイミングで向き合う機会はやってくる。そこでしっかり向き合って、心からの笑顔をたくさんふりまけたら素敵だなって思う。

 祖母は写真で笑わなかったから。とても些細なふとした時の悪戯っぽい彼女の笑顔はとっても素敵だった。


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