米朝一門会 感想(2022年4月30日 紀伊國屋ホール)

 首都圏に住まっている都合上、どうも上方落語に触れる機会が少ないんです。芸協の寄席なんかだと鶴光門下の方や他にも上方枠があることもあってたまに見られますが、それでも少ないわけで。米朝師匠や枝雀師匠のCDなどはもう何度も聴いてるんですが、やっぱり生で聴きたいものです。
 という訳なので、今回米朝一門会のチケットを取ってからはかなりワクワクしていました。
 紀伊國屋ホールは初めてだったんですが、あの会場はなかなか好きです。まぁ席が良かっただけかも知れないけど。
 演目は以下の通り(敬称略)
道具屋 桂米輝
ふぐ鍋 桂吉の丞
一文笛 桂米團治
〜中入り〜
野崎詣り 桂南天
素人浄瑠璃 桂南光

 どれもよかったのですが、諸般の事情から三つだけ感想を。

一門笛(米團治師匠)
 この噺は桂米朝師匠(米團治師匠の師匠かつ実父)がお作りになったものですね。江戸に直したものを当代の円楽師匠がやっているのが音源にあります。
 この噺は米朝師匠がやっているものの中でもかなり好きな部類に入ってます。話の全体的な運びというか、サゲへの向かい方が非常に心地良くて、大好きです。落語の「間」というものが綺麗に詰まっている噺だなぁと思ってます。
 私は米團治師匠の雰囲気とか喋りの抑揚とか声が非常に好きで、いつか生で聞いてみたいと思ってたんですけど、本物を見るとやはり素敵でした。後半にかけての勢いが乗っていて、グッと引き込まれるようでした。良かったなぁ。

野崎詣り(南天師匠)
 この噺は割と有名な噺だと思うんですけど(「思うんですけど」というところに情けなさがある)、実はあんまり聴いたことがなくて、多分一度誰かのをCDで聞いたくらいだと思います。なので、実質初めてみたいなもんでした。
 お参りのワッとした雰囲気がよく出てて、すごく楽しげでした。初めて聞いたのが南天師匠でよかったなって気がします。
 途中で「その道中の陽気なこと」との言葉に合わせてお囃子が賑やかに入るのは実に上方っぽくていいですね。私は米朝師匠の「地獄八景亡者戯」が好きでよく聴いてるんですが、これにもこの演出があって、個人的にはこうした下座音楽の活用に上方落語の魅力を感じてます。

素人浄瑠璃(南光師匠)
 これはよく「寝床」という題でかけられる噺ですね。南光師匠の師匠である枝雀師匠がこの形を作ったらしいです。
 南光師匠は声の出し方になんとも言えない張りがあって、やはりベテランだなぁと感心しました。
 

 総じて、とても楽しい会でした。また上方落語をしっかり生で聴きたいですね。次も狙ってる会があるのでそこ行けたらいいのですが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?